プロローグ「アンケートに答えたら地下迷宮をプレゼントされました」
プロローグ「アンケートに答えたら地下迷宮をプレゼントされました」
「――時間とは、今この瞬間にしか存在しない」
ザラつくような『声』が、『俺』の脳髄を締め付ける。
「あ? なんだ、これ……」
酷い不快感。目が半分以上開いて、ようやく気付く。俺はイスに座っていて、信じられんくらいの超越的な美少女と向かい合っていた。
「何、これ……ここ、どこ? お前、誰? ってか、お前、なに?」
俺のトイメンで足を組んで座っている、その、ありえないレベルの美少女は、淡々と、
「君が過去・未来・現在へ流れていくと誤認している時間という観念は泡沫の幻想に過ぎない。君が過去と認識している時空・領域は、『今この瞬間』も確かに存在している」
//壁の向こうは見えないが存在する//
「あの……そんな、クソどうでもいい事より――」
「質問か? 受けつけよう」
「マジで、あの……ここ、どこ? 俺、自分の部屋で寝てたはずなんだけど」
「答えよう。ここは、純粋意識の領域外」
「……俺は、それが美味しいかどうかを聞けばいいのか?」
「さて、状況も理解できた頃だろうし、そろそろアンケートに答えてくれ」
「なんでやねん」
俺の慟哭をガン無視して、美少女は、アンケート用紙が挟んであるバインダーを取り出す。
「それでは、小学六年生の才藤零児くん。まず、君の御名前と年齢は?」
「……なんだ、その『ボケましたでぇ、どうでっか?』みたいな目は。俺は、お前にツッコまないといけないのか? 最初にハッキリ言っておくと、全力でイヤなんだが?」
「場を温めるための軽い冗談だ。忘れてくれ」
ナメとんのか、こいつ。
そっちがその気なら、こっちもやってやんぞ。
「君に問いたいのは、この世界をどう思っているか。できるだけ実直に答えてほしい」
「消費税が高い」
「なるほど。消費税が……高い……と」
俺のジャブを、真剣な表情で記入していく美少女。
それを見ながら、俺は、どうしたものかと顔をゆがめる。
「君は、どうなれば、『この世界の純性質』が『決定論的カオス』から『オメガ無矛盾』へと革命的なエボリューションを経ると、あるいは形而上の運命論的なソリューションに至ると思うかね?」
「……しんどいなぁ……おい、あんた、どうした? 心の病気か?」
もはや、こうなってくると、質問されているというより、
高度な嫌がらせを受けているとしか思えない。
なんだ、オメガ無矛盾って。
単語からしてラリってるとか、どんだけ?
「質問の具体性を引き上げよう。君が『神』なら――全能の超次的存在であったならば、この世界に何を与える?」
「……なに、その『無人島に一つだけ持っていくなら何?』みたいなクソ質問。この世で最も愚かな質問の一つと言っても過言ではない」
「心理テストとでも思ってくれればいい。仮に、君が全能なら、この不完全な世界を完成させるために、いったい何を与える?」
「じゃあ、地下迷宮」
「……」
今度の『大喜利』は芯を食ったかと思ったが、
「ほう、ほう。ほーう。なるほど、なるほど。ふむふむ。……地下迷宮か。実に興味深い」
美少女は、シミジミと、何度も頷きながら、俺のボケを反芻する。
はい、限界。
もう許さん。
伏して、後悔を数えろ。
テメェはハシャギすぎた。
さあ、詠おう。詠おうじゃないか。
息を吸ってぇぇ……
「シュール系の小ボケを咀嚼すんじゃねぇ! 俺を精神的に殺す気か?! つぅか、マジで、ここどこ?! お前、誰?! いい加減に答えろや! はったおすぞ!」
「ふっ」
「なにわろてんねん!」
イライラする。
躁鬱の乱高下。
機嫌が急転直下している俺に、
その『女神』のような『輝く美しさを放出している超美少女』は、
「では、君の奇天烈な意見を実行に移してみるとしよう。もちろん、地下迷宮の設計図は君に書いてもらう。さあ、どんな『今』になるか、非常に楽しみだ。ちなみに言っておくが、これは最後のチャンス。もう二度と、改変は起こさない。慎重に行ってくれ」
そこで、俺の意識は途切れる。
――『これ』が『数年後』には、すっかりと忘れてしまっている、俺の過去の一部。
イカれた夢をいつまでも保管しておけるほど、俺の脳ミソの容量は多くない。
→→
If (聖なる死神)universal computer {
――Quantum Simulator ≒ ultimate laptop――
Time and space []=System .territory 《運命論的仮想世界√人工的量子ダイナミクス》();
Fancy record〔美少女(キ○ガイ)(monkey shake)〕Closed=000 () inflation []
// 不撓不屈のヒロイズム //
}
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