快楽的クスリ
ちょっぴり辛くて生臭い。日常形短編小説です。
目を覚ますと、そこは暗闇に包まれた倉庫の中だった。いつの間にやら眠ってしまっていたようだ。
まだ壊れていないが血に染まっている腕時計で時刻を確認する。午後4時50分を表示している。
眠気を覚ますように頭を振ろうとしてくしゃみをした。もう廃校になってから結構経つせいか、やけに埃っぽく、室内上部の小窓から差し込む光に大量の埃が舞っている。
果てさて、僕は一体なぜこんなことをしてしまったのか。隣では、6段に積み上げられた跳び箱の上に乗っている3人分の生首がある。右から、女の子、おっさん、おばさんの首。どいつもこいつも知らない奴らだ。床にはこれらを切り取るのに使用したオノが転がっている。
女の子の頭をさすってみた。白目を剥いて舌を突き出して、酷い顔だ。それを、目の前にあった移動式バスケットゴールに投げ入れた。
「ナイスシュート!」一人で叫んだ。何だかおかしくなって笑い転げる。
僕はジーパンのポッケから小さな瓶を取り出した。中には白い小さな薬が大量に残っている。
今朝ビルの屋上で会った爺さんに貰ったんだ。
「これを飲めば君の悩みなんて全て忘れられるさ」なんて抜かしてた。
ありがとう。あんたの言う通り、なんで自分が悩んでたのかも思い出せないよ。またクスクスと笑った。
「また手が震えて来やがった」
暫くの間生首を蹴って遊んでいたが、飽きてしまった。お別れの挨拶に一つ一つオノでかち割った。まだ震えは治まっていない。
そろそろ行くか。僕は重い扉を開け、外に出た。太陽が僕を迎える。
校舎の正門には沢山の人だかり、それをかき分けて警察の方々がこちらに走って来る。
こころが飛び跳ねる。バッタみたいにジャンプして僕も走り出す。
「ギャハハハハー!!!」
次の瞬間には拳銃の弾丸が僕の頭を貫いていた。
完
無い