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勇者アクワー、今はレン

アサナト王国は世界的に見ると多少小さいが平和な国だ。ここ1000年争い事が無い。

そんな国の貴族「エクセレティコ・カロス家」、長男に生まれたのがレンだった。




「レン~、今日もまたアレティのところに行くの?」


出かけようと靴を履いていたところに声をかけられ、レンは上目遣いに振り返った。

彼女はエクセレティコ・カロス・カレン。この家の次女でレンの姉だ。


「うん、アレティと昨日約束してたからね。」


「そっか、今日は遅くならないでよ? みんな心配するから。」


昨日、少々帰りが遅くなった。やれ魔物に襲われた、誘拐されたなどと家中が軽くパニックになったらしい。

レンはまだ10歳の子供だ。そうなってしまうのも分かる。


レンは分かったと言うかのようにニッコリ笑い、アレティの元に向かった。




家の庭に裏道がある。そこを通ってアレティのいるアサナト家に向かう。


「遅かったな!早くやろうぜ!」


決して遅れたわけでは無いが、待ちきれなかったみたいだ。アレティは皇族家の次男でレンと同い年。アレティにとってレンはたった1人の友達なのだ。

アレティは言った。


「今日"は"勝つ!」


レンは自信に満ちた顔でアレティに返す。


「今日"も"勝つ!」


 


結果、レンが勝った。レンはアレティに負けたことがない。


「あー、負けたぁ。これで140敗。」


ゴロンと芝生の上にアレティが寝っ転がる。つられてレンも寝っ転がる。


「違う違う、146敗だろ? 俺は146連勝だけど。」


「細かいなぁ」と言いながら2人は目を合わせて笑い合った。




「持ってる才能が違うのかな?」


レンの帰り際にアレティが言った。


「何が?」


「だってさぁ、同じように練習してるのになんで皇族の俺よりお前が強ぇんだよ。」


確かにアレティの言うとうりだ。

基本どの国でも皇族の血に勝るもの無しで皇族が1番強い。だが、レンはそんな皇族相手に100連勝以上している。


「知るかよ、お前が弱すぎんだよ。もっと練習しろ。」


「分ーてるよ、また明日な。今度はもっと早く来い!」




その日の夜、レンはずっとアレティに言われたことを考えていた。


ーそんな強いか? 身体がなんとなくそう動いちゃうんだから日々の積み重ねだろー


何事も基礎! がレンの答えだった。その日はいつもより疲れていてベッドに入った瞬間に夢の世界に落ちた。




夢の世界は何処か懐かしい気配を出していた。匂い、感触、風、全てが現実のように感じられた。


ー誰だ、あれは。魔王、魔王? 魔法使い...グリフォス!?ー




朝、目が覚めた時。レンは全てを思い出していた。


「そうだ俺、勇者だった。この世界を作ったのは俺だ!」

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