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第0話 強制遷移
自分から目を離すと、まず目にするのは子供サイズであるほどの緑人族たち(ゴブリン)が踊っているようようだ。
言葉にするのも躊躇うほど、彼らは醜いである。
同族である俺もおそらく醜いであろう。
心が折れそうな話題をやめよう。
緑人たちからさらに目を離すと、まさに自然という言葉が表せる風景が広がっている。
岩から流れ出る水が延々と流れ、やがて海に帰すだろう。
同族が時折に邪魔するように踊ってきて遮らなげれば、思う存分堪能できるだろう。
更に周りに目を向ければ、自分が森にいることがわかった。
なぜ、ゴブリンとして森で生を受けるか、自分の存在意義はなんなんのか、疑問は色々持っているが、まずは生きていかなければならない。
おそらくファンタジーのように簡単に討伐されてしまうだろう……
そうなりたくなければ、強さを求めるしかない。
そう密やかに心に誓っていき、そしてそれが神様が盗聴もとい聞こえたかのように、我が身に何かが起きたようだ。
突然、目眩がした。
その日を置きに、この森の中で生き物を見かけるものはいなくなった。