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冷蔵庫のなかの君。
私は赤い液体と蛍烏賊のようなものが入ったタッパーを業務用冷蔵庫へしまった。
両親は居酒屋を営んでいて小さな町の小さな居酒屋だが夜になればそれなりに活気はある。
昼にはサービスランチをやっていて作業着姿の男性達がガヤガヤと卓を囲む。
その中の1人に竜也はいた。
歳は同じ15。
昔はヤンチャをしていたとかで高校へは進学せず働いているんだとか。
もちろん昔はなんて言ったって一年や二年前の事だしなんなら今現在が真っ当に生きているのかと言われると言葉に詰まる。
同い年だというのに煙草を吸い、パチンコに行き、無免許で原動機付自転車を乗り回す。
先輩だろうと自分が尊敬できると思わなければとりあえず一度は噛み付く。
非常に短絡的であるし直情的だ。
それでも私がそんな彼に心を惹かれるのはきっと訳がある。
彼が私を見つめるあの熱のこもった視線や、危なっかしくて放っておけないところ、馬鹿なところ、強引なところ、たまに凄く優しいところ。
私にもそんな意識があるのだからお互いに意気投合して一緒に遊ぶようになるまで時間を必要としなかった。