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新世紀の殉教者

空蝉

作者: keisei1

 硝子の向こうに映るもう一人の自分

 

 僕を心の奥底から罵ってやまない 

 

 僕らはヒビの入った電柱に止まった空蝉うつせみ


 所詮虫けらの命だと知りながら


 それでも毎日にすがりついて生きている

 


 鳴けば鳴くほど寿命縮まって

 

 だけど鳴かずにはいられなくて

  

 夏の陽射しに身を焦がされて


 羽根をもがれていく


 泣けば泣くほど泥を塗られて


 だけど涙せずにはいられなくて 

 

 裸のままの感情をいたぶられて


 熱に溶かされていく



 世界の裏で舌を出すもう一人の自分


 僕を血のたぎる場所から嘲ってやまない


 僕らは壊れかけた鳥籠に囲われた鳥


 所詮無駄死にすると知りながら


 それでも羽根を羽ばたかせている


 

 飛べば飛ぶほど命削られて


 だけど飛ばずにはいられなくて


 渇いた空に身を引き裂かれて


 羽根を引きちぎられる


 足掻けば足掻くほどいたんで 

 

 だけど足掻かずにはいられなくて 


 丸腰のままの心掻きむしられて


 叫ぶままに晒される


 

 僕らは一度も振り返らずに


 この道を歩いてきた

 

 そんな荒れ果てた旅路に


 横たわる骸の目が笑みを浮かべる


 

 叫べは叫ぶほど寿命削ぎ落とされて 


 だけど叫ばずにはいられなくて


 ひび割れたアスファルトに叩きつけられて


 粉々に砕け散る


 もがけばもがくほど傷ついて


 だけどもがかずにはいられなくて


 感情のない化け物に喉から喰らわれて

 

 半身になって片目のままで僕らは生きる


 それでも生きざるを得ないんだ

  

 

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