任務
別室に着いた。
そこには自分を含めて8人の組織の人がいた。
そのうち2人はゼノンさんとガルドさん。
他の人もきっとベテランだろう。
先程試験会場にいた受験者達とは風貌が違う。
誰かがこの部屋に入ってくる音がした。
見ると、先ほどのチームメイトと彼女の連れだった。
それに続くようにまた2人が今度は別々に入ってきた。
ゴウさんでもアルタさんでもなかったが彼らも合格者だろう。
雰囲気からして連れや知り合いでは無さそうだ。
最後にゴウさんとアルタさんが同時に入ってきた。
「全員集まりましたね」
ゼノンさんがそう言うとその場の空気は少し引き締まった。
「合格者の皆さん改めておめでとうございます。私はこの組織のトップ兼Aエリア担当チームのリーダーのゼノンです。他の者もそれぞれB、C、D、E、L、Sエリア担当チームのリーダーです。」
彼らは全員リーダーだったらしい。
漂わせる空気と、緊張感と余裕には安心感と強者感があった。
「最近、この近辺で能力事件が多発していることを受けて、E、L、Sエリア担当チームには急遽こちらに移動して貰いました。そして今試験の合格者であるあなた達にはそれぞれのチームに加入してもらいます。」
いきなりそんなことを言われた。
「それでは加入チームを発表します。」
『危険度3、エリア内に能力者が出現しました。ARCの指示に従い、直ちに避難して下さい』
ゼノンさんがチームを発表しようとしたと同時にそんな警報音が流れた。
「緊急事態ですので各チームは直ちに出動して下さい。」
ゼノンさんがそう言って指揮をした。
僕の初任務だ。
能力者の発生はこの建物のすぐ外だった。
幸いにも組織の現場部隊が近くで案内をしていた為受験者や近隣住民に被害は出なかった。
だが、それ以上に問題なのが能力者が複数いることだ。
地面からは先程までは存在しなかった大きな植物が生えていて意思を持つように動いている。
近辺の物体は宙に浮かんでおり。
ザッと数百体程同じ顔をした能力者がいる。
能力:植物
能力詳細:産み出した植物を自在に操る。
能力:運動
能力詳細:意思を持たない物体を操れる。ただし、一度に操れる運動量には限界がある。
能力:分身
能力詳細:自身の分身を産み出せる。分身にはそれぞれの意思がある。
危険度:3
現場状況:ARC本部近辺に出現。近隣住民の避難は完了した。
戦況:近くの部隊が戦場にて応戦中。部隊の損傷なし。
浮いていた小石程度の大きさの破片が弾丸のような速さで飛んできた。
が、それをガルドさんが容易くいなした。
「ゼノン!運動の能力者は俺が片付ける!お前は植物の能力者を!他の者は分身の能力者を各自倒してくれ!」
そういうとガルドさんは運動の能力者と距離を詰めた。
僕たちは悍しい程の量の分身能力者に視線を向けた。
そして全員が既に分身の能力者と交戦を始めていた。
1番近くの分身と距離を詰めた。
能力者と言っても数が多いだけで身体能力は凡人程度だ。
1人目に一撃を与える。
ダメージは与えれたが倒しきれなかった。
もう一度攻撃を試みると近くの分身が10体程攻撃を仕掛けてきた。
流石に一般人程度の身体能力でもこれほどいると骨が折れる。
一度呼吸を整え、分身と距離を取った。
勿論、分身もこちらに合わせて攻撃を仕掛けてくる。
だが、冷静に見極めて全ての攻撃をいなす。
その過程で一部の分身の攻撃は別の分身に入った。
もう一度相手と距離を詰める。
今度は相手の攻撃を見極めて適切なタイミングで急所を攻撃しながら分身同士での打ち合いをさせた。
先程より有効的にダメージを与えられている。
1人死にかけの分身がいた。
僕はその分身にトドメを刺した。
分身は消滅した。
倒すと分身は消滅するらしい。
僕はまた分身の群に突っ込んだ。
***
また分身が来た。
私"ミラ"は分身を1人ずつ丁寧に処理している。
能力者の動きに理性や規則性は無いが、動きはとても読みやすい。
1秒で3体程倒せる程度には簡単に倒せる。
ノエルは新入りへ奇襲をしようとする分身を優先的に倒し、味方をサポートしている。
シオンは分身を最低限しか倒していないが、誰かを探すように相手を観察している。シオンのことだから本体を探しているのだろう。
ガルドのおっさんの戦闘は一方的だった。どうりで先程から瓦礫や破片が飛んでこない訳だ。やっぱり彼は強すぎる。
ゼノンは植物の攻撃を最小限の動きで全て避けながらまるで何事も無かったかのように植物の能力者と距離を詰める。植物の攻撃の中には身体を麻痺させる毒や身体を拘束させるツタなどがあるのによくそんなことができるな。彼が入隊試験を一発で合格できるのも納得だ。
入試試験を一発で合格と言うと先日の爆発の能力者との戦いの時に現場にいた少年も一発合格だったらしいがどんな戦い方をするのだろう。
分身を倒しながらそんなことを思っていると。一気に何体もの分身が消滅した。
シオンが本体を倒した訳ではないらしい。
何体もの消滅の中心には一発合格をした新人のアークがいた。




