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未確認来訪者  作者: 1N0R1
第一章
6/22

入隊

能力者はアルタさんの攻撃によって勢いよく吹っ飛んだ。

アルタさんはその能力者に追い討ちをかけるように天井を蹴り、また能力者に一撃を入れた。

能力者が重力の底に着いた。アルタさんはまだ攻撃を続ける。

重力の急激な変化は気づけば止まっていた。

アルタさんはまだ攻撃を続ける。

ふと、彼の表情を見ると彼は涙を堪えるような顔をしながら堪えきれなかった涙を溢していた。

アルタさんはまだ攻撃を続ける。

空気は先程と変わってはいなかった。

だが、その表情を見た僕の心の中には先程までとは違う感情があった。

アルタさんはまだ攻撃を続ける。

能力の影響が無くなった。

僕達の勝ちなのだろう。

今の僕には試験の結果や能力者ロボットの構造よりも気になる者があった。

けれど彼自身がまるでそれを知ってはいけないと警告するように涙を流しながら能力者を攻撃する。

その迫真な彼を見て息が重くなった。

アルタさんの攻撃が止まった。

それと同時に彼は糸が切れたように膝から崩れて落ちた。

彼は今きっと涙を流しているのだろう。

彼の涙の意味は今の僕には知る由もなかった。

ただ僕たちは彼が立ち上がるまで待った。




その後僕たちは待機室へと戻った。

今は他のチームが試験を受けている。

アルタさんは少し落ち着いたらしく空元気に振る舞っている。

「皆さんお疲れ様でした」

この言葉も空元気の彼が絞り出せた言葉なのだろう。

その言葉への返答に困っていた。

「アルタさんもお疲れ様です」

そこでゴウさんが彼の言葉にそう答えた。

「受かっているといいですね」

無言で待機室に入ってきた彼女も緊張が解けたのか初めて言葉を発した。

「全員全力を出せたんです。いい結果であることを期待しましょう」

僕はそんな言葉を選んだ。

その後もチームメイトと少し話していた。

と言っても全員踏み込んだ話はできなかった。

そんなこんなで時間を潰していると全ての受験者が呼び出された。

全チームの採点が終わったのだろう。

僕たちは指示通りに闘技場まで向かった。




闘技場にはこの組織のトップであるゼノンさんがいた。

ゼノンさんは受験者に軽く挨拶と労りの言葉を残し、合格者は別室に行くようにと伝えて登壇を終えた。

そして合格者の受験番号が張り出された。

合格者は7人だけとのことだった。

その中に自分の受験番号が書かれているかを確認するのが怖かった。

だが、ここで恐れて止まっても仕方がない。

やれることはやり切ったのだからどんな結果であっても受け止める。

そんな覚悟を決めて僕は張り出された合格発表の紙に目を通した。

その中の上から3番目に自分の受験番号と思われる番号を見つけた。

手元にある受験票と照らし合わせて見た所、その番号は一桁たりともズレることなく一致していた。

僕はこの試験に受かった。

とても嬉しかった。

これで僕も組織の人達と一緒に人々を守ることができる。

周りを見渡すと当然だが自分が受かっていないことに落胆する者や納得のいかない者、涙を流す人までいた。

ふとチームメイトが気になったので少し見渡して探してみる。

アルタさんはあの様子からして受かっていたようだ。

ゴウさんは祈るような姿勢で黙想していた。

そしてもう1人のチームメイトは最も分かりやすく喜んでいた。

彼女の隣にいる彼女の連れと思われる人もこの様子だと受かっていたらしい。

もう一度ゴウさんの方を見ると軽くガッツポーズをしていた。

僕は少し安心して別室に歩を進める。

まだ心臓の鼓動が鳴り止まない。

今でもまだ実感が湧いていない。

そんな気持ちを落ち着かせる為なのか僕はいつもより早い足取りで別室に向かった。

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