試験
遂に今日が試験本番だ。
期待と緊張で胸が張り裂けそうだ。
いつもノエルさんと練習している場所のはずなのにまるで違うところのように思えた。
参加者は数えきれないほどいる。
この試験では試験の前に1チーム4,5人程のチームに分ける。
チームと言っても点数は個別でつけられる。
なので1チームに見る為に採点者は4,5人必要ということだ。
そして作られたチームで能力者ロボットと戦うという物だ。
能力者ロボットは人型で平均的な人間と同じような動きができる。
少し違う点はそのロボットは能力を使える。
能力は危険度2の能力者を基に作られているらしい。
そして今からはチーム分けだ。
チーム表が張り出された。
チームDの表から僕の受験番号を見つけた。
他にも3人分の受験番号が書かれていた。
4人チームで戦うらしい。
チームを確認し、すぐにチームDの待機室に向かった。
部屋には先客が1人いた。
「あっ、どうもこんにちは。チームDのアルタです」
「どうも、アークです。本日はよろしくお願いします。」
軽く挨拶をした。
少しの間沈黙を挟み、待機室の扉が開いた。
外には2人のチームメイトと思わしき人がいた。
「………」
「皆さんよろしくお願いします。ゴウです。」
1人は元気に挨拶してくれたがもう1人は緊張しているのか無言のままだった。
無言の人はテーブルの中心にある資料のような物を手に取り念入りにチェックした。
この試験では待機室に能力者の詳細が記載された資料が1チーム一冊ずつ配布されてある。
僕や他のチームメイトも同時に確認する。
能力:重力
能力詳細:重力の方向を変えることができる。
危険度:2
現場状況:闘技場にて出現。近隣住民の避難は完了した。
戦況:まだチームは到着していない。動ける部隊から指示に従い、行動するように。
そこでチームDが呼び出された。
この試験、絶対に受かってやる。
闘技場に着いた。
そこには勿論ノエルさんはいなく。代わりに自律式ロボットが中心に立っている。
チームメイト全員が闘技場に足を入れたと同時に試験開始の合図がなった。
とりあえずいつものようにロボットとの距離を詰める。
そこで重力が反転した。
能力の細胞を使って作っているらしいが凄い技術だ。
だが、今の僕には関心している暇はない。
能力者は距離を詰めてくる。
空中での身のこなしをしてこなかったのでこのままではやられてしまう。
「危ない‼︎」
そんな掛け声を上げつつゴウさんは能力者に飛びついた。
今までも試験を受けてきたからか、空中での身のこなしも見事だった。
僕ももう一度攻撃を仕掛けに行く。
だが、そこでまた重力の向きを変えられてしまった。
幸いにもすぐに着地はできたので落ちてくる障害物に押し潰されることはなかった。
障害物と同時に近くに能力者も降りてきた。
だが、空中にいる能力者では身を上手く動かすことはできない。
僕は足に力を入れて飛んだ。
能力者を間合いに捉えた。
重力を切り替えられるが、この距離なら問題は無い。
空中にいる能力者相手に攻撃を叩き込む。
攻撃はすんなりと通った。
ノエルさんとは違い、身体能力自体は平均的なステータスなので距離を詰めればこっちの物だ。
だが、決定打は与えられなかった。
着地までもう時間は無い。
僕は着地の衝撃に備えた。
相手が着地して少し距離を取った所でまた重力を変えられた。
また距離を離された。
空中に障害物が舞う。
アルタさんもゴウさんも距離を詰めるのに苦労している。
だが今1人だけ能力者を間合いに捉えている人がいた。
偶然か必然か、彼女はそこから能力者に攻撃を叩き込んだ。
もろにその衝撃を受けた能力者は地面に向かって突っ込んでゆく。
だがまた重力の向きを変えられた。
しかも重力は絶え間なく変化している。
なんとか壁際でいつでも間合いに飛び込める準備はできているが。闘技場の中心にいる能力者には届かない。
そんな僕の目の前に障害物が落ちてきた。
この障害物があれば相手に近づける。
僕は次々と落下する障害物に飛び移りながら能力者に近づいてた。
能力者を間合いに捉えた。
中央にいる能力者には文字通り取りつく島もない。
今までで1番隙だらけの相手の急所に渾身の一撃を叩き込んだ。
***
私は驚愕した。
私が採点をしているアークという男は能力者に的確に一撃を与えた。
彼は今年初受験と聞いたが初受験者所か組織の人間に匹敵するレベルの身のこなし。
戦況を把握してかは知らないが、相手への柔軟な対応。
相手の能力を逆手に利用する戦闘スタイル。
どれを取っても初めて能力者と戦う人とは思えない。
今年初めて受けるのにその実力は組織の人と肩を並べるレベルだ。
また重力の向きが変わった。
能力は制御されていて重力の影響は試験会場である闘技場にしか影響しない。
あの一撃で倒しきれなかた所を見るに力はそこまでなのかも知れない。
だが、彼は今後間違いなく組織の前線に立つだろう。
***
また重力の向きが変わった。
さっきの一撃で決めきれなかった。
だが、今のでコツは掴んだ。
次こそ仕留める。
そうしてまた障害物に飛び移りながら能力者に近づこうとするが、
能力者の死角にはアルタさんがいた。




