傷跡
寮に帰ってからどれほどの時間が経ったのか。
僕の涙はやっと枯れた。
「すみません。お見苦しい所を見せてしまって、」
目頭がまだ熱い。
多分赤くなっている。
「大丈夫だよ。もし辛くなったらなんでも言ってね。」
ミラさんは僕を許してくれる。
あれが正解だったかは分からないけど、それでもミラさんのお陰で少なくとも間違いではなかったと少し思えるようになった。
時計は7時を指している。
「朝食、遅れちゃいましたね。」
「いつもこの時間くらいに食べてるから大丈夫。食べよっか。」
ミラさんと一緒に朝食を食べる。
こんなにしっかりと朝食を食べるのもいつぶりだっただろうか。
時間をおいた所為で少し冷めていたが、それでもその朝食で心は温まった。
「アーク、ありがとう」
ミラさんは言葉を溢した。
「あの時助けてくれて、」
「こちらこそ、いろいろとありがとうございます。」
確かにあの時ミラさんのことを助けた。
だが、それ以上にミラさんに色々と助けて貰った。
「あの、本当に痛くない?」
僕の身体を見てミラさんが聞く。
「左肩の傷以外は軽傷ですから大丈夫です。」
気づいたら殆どの傷は既に殆ど塞がっていた。
左肩だけはまだ貫かれた時の痛みが残っている。
「そこの傷、深いの?」
「ええ、ですが骨とかはやられていないので半年もあればある程度は塞がります。」
「腕は動かせる?」
左腕を動かしてみる。
「はい、痛いですが動かせないことはないです。」
「後で組織の医療機関に行くよ」
「分かりました」
自然回復を待つよりは直ぐに治るだろう。
「ご馳走様でした。」
食べ終えた食器をキッチンへ持っていき、軽く水で流す。
既に朝食を食べ終わっていたミラさんは出かける準備をしている。
僕も準備に取り掛かろう。
部屋に行き破れた服を脱ぎ、棚から新しい服を取り出し、着替える。
肩は軽く止血してあった為、新しい服が汚れることはなかった。
財布などを持って部屋を出る。
ミラさんは既に準備が完了していた。
「それじゃあ行こっか。」
僕とミラさんは同時に寮を出た。




