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未確認来訪者  作者: 1N0R1
第二章
17/22

帰路

私はガルドと別れてアークと寮に帰ることになったのだけど、

「アーク、大丈夫?傷だらけだけど、」

アークの身体には全体的に傷がついていた。

特に、左肩には深い傷ができていて、応急処置はしてあるけど、とても痛そうだった。

「大丈夫です。ただのかすり傷ですから」

心も身体もボロボロなはずなのに、アークは何事もないように笑顔で返してくれた。

「…そっか、じゃあ一緒に帰ろ。」

「はい。帰りましょうか。」

アークは私よりも傷ついていた。

先輩として守れなかったのが情けなかった。

「そういえば、他の方は?」

寮に向けて歩みを進めると、アークが聞いてきた。

「シオンとノエルは夜の番だったから先に帰らせた。ガルドはリーダーの会議に行った。」

これ以上アークに負担をかけさせないためにも能力者の話はしない。

いつもと違う足取りでアークは着いてくる。

「足痛いの?」

「…はい、少し、」

「歩いて帰るのはしんどい?」

「大丈夫です。この位なら」

「……肩貸すから無理しないで」

先輩としてこれ以上アークに無理をさせたくない。

「…それじゃあお言葉に甘えて、」

アークの体重が全身にかかる。

アークの身体は16歳の男の子にしては少し軽かった。

「…アーク」

「どうしました?」

「……ノエルがもう朝食準備してるだろうから帰ったら一緒に食べよ?」

「……はい」

本当は「気にしないで」とか「無理しなくていいよ」とか言いたかった。

「ミラさん」

「何?」

「…ありがとうございます。」

肩を貸したことに関しての感謝かな。

「どういたしまして。もっと頼ってもいいからね。」

多分、アークは頼るのが苦手なんだと思う。

だから私は彼にそんな言葉を返した。

「はい。とても頼りにしています。」

ごめんね。って言いたかった。

頼って貰っていたのに、助けられなかった。

そんな自分が不甲斐なかった。

「…もうすぐ着くよ。ご飯食べたらゆっくりしてていいからね。」

「ありがとうございます。すみません、重かったですよね。」

「全然大丈夫だよ。寧ろ、ちょっと軽かった。」

「そうでしたか。」

遠慮なんてしないで欲しい。

アークの敬語がなんだか距離を置かれているようで辛かった。

「そういえば、アークって寮の鍵ってもう貰ってる?」

「はい、チームが決まってすぐにガルドさんから貰いました。」

「そっか。よかった。」

自分でも何が話したいのか分からなくなる。

きっとそれでいいのかもしれない。

その方がアークは楽なのかもしれない。

寮に着く。

鍵を開けて中に入る。

アークの重さがなくなる。

ダイニングには誰も居ないけど、オムレツと野菜炒めが2人分と置き手紙がある。

「食べ終わった食器は後で洗うのでシンクに置いてて下さい。」

ノエルの字でそう書いてあった。

「だって、アー、ク」

私が振り返るとアークは泣いていた。

「大丈夫⁉︎」

「すみません、なんだか、勝手に、涙が出てきて。」

「分かった、大丈夫、いっぱい泣いていいから。」

それからはただアークの啜り泣く音だけが聞こえた。

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