暴風
『危険度3、エリア内に能力者が出現しました。ARCの指示に従い、直ちに避難して下さい』
警報音が鳴り、僕は飛び起きた。
2回連続危険度3か。
今までこんな高頻度でエリア内に危険度3が出現したことはなかった。
とりあえず急いで出動しよう。
僕は急いで外に向かう。
「みんな準備はできたな。今回は3部隊で動く。発生地点は人里離れた所で被害は確認されていない。だが、被害の拡大状況によっては住民に被害が及ぶことも予測される。部隊の合流後、ノエルは他チームと一緒に住民の避難に回ってくれ。シオンとミラとアークは俺と発生地点で能力者の討伐に参戦してくれ。」
「はい。」
ガルドさんの的確な指示に続き、僕らは返事をする。
「シオン、連絡塔からの情報を抜粋して読み上げてくれ。」
「はい、能力者は一名、能力の詳細は周囲の天候を操るというもの。また、天候の一環で一部の物体を生成し、降らせることもできるとの情報が入っています。場所は教会跡の廃墟です。」
この寮からそう遠くない位置だ。
「よし!行くぞ!集合地点は旧聖道前だ。着き次第各フォーメーションに合わせて動いてくれ。」
教会跡の周囲は紅く燃えていた。
呼吸すらも恐ろしく感じてしまう。
禍々しさを纏う暴風の予兆が僕らに引き返せと言っているようだった。
だが頼もしいチームメイトが僕の中から逃げるという選択肢を消した。
旧聖道前に着くと、そこは異様な程に静かだった。
人の声はなく。聞こえるのは風に揺られる木の葉の音と今回の警報で駆けつけた組織の人の呼吸だけだった。
「これより作戦を開始する。」
ゼノンさんの声が僕を現実に戻した。
行こう。
僕ら討伐チームは旧聖道を辿り教会跡に向かった。
***
私は近隣住民の安全確保部隊に選ばれた。
住宅街は深夜とは思えないほど騒がしかった。
「皆さん。落ち着いて下さい。我々の指示に従って落ち着いて避難してください。」
住民に大声で伝える。
不幸中の幸いかここは能力者の出現地点からかなり離れている。
「ゴウさん。当区域の住民の安全確認はできましたか。」
「はい。こっちのエリアの住民の安全確認は終わりました。軽傷者3名。行方不明者や死亡者、重症者はいませんでした。」
「分かりました。ではシラさんの区域を手助けしてください。」
「了解しました。」
彼もアークと同じ新人なのだが、テキパキと動いている。
新人といえど流石合格者だ。
「ノエルさん、現在脚を骨折中の男性が1人いました。避難経路を変更しますか。」
「報告ありがとうございます。能力者とは距離があるので現在のルートでも間に合います。避難経路は安全確認済みなのでそのままの経路で避難してください。」
「はい。分かりました。」
彼女も新入りなのだからしっかりとフォローしなければ。
「カリスさん。各区域の住民の安全確認は完了しました。現場に戻りますか。」
「安全確認お疲れ様です。ではシラさんは私とここに残ってください。それ以外の方は現場に戻り討伐部隊の支援をしてください。」
「分かりました。お気をつけて下さい。」
Cチームのチームリーダーのカリスさんがいればこっちは安心だろう。
私達は戦闘部隊の方へと急いだ。
***
旧聖道を駆ける。
辺りは火の海だ。
火の玉が絶え間なく降ってくる。
着弾地点から大きな音と炎の熱を感じる。
能力者の姿を目に捉えた。
だが、能力の影響で簡単に間合いに入り込めない。
火の玉の次は槍が雨のように降ってきた。
最初に降ってきた槍を振り回し、槍を防ぐ。
槍の衝撃が全身に伝わる。
能力者は一歩も動かない。
今はこの槍の雨を防ぐのに必死だった。
能力者を中心に竜巻が発生する。
自由落下しかできなかった槍が方向を変えながらこちらに飛んでくる。
だが、それと同時に密度も低くなる。
呼吸を整える。
この量なら距離を詰めながら防ぎきれる。
重心がズレれば飛ばされそうな強風の中、能力者に向けて精一杯歩く。
「アーク!上!」
ガルドさんの声を聞き上を見ると、
火の玉が迫ってきてた。




