第9話「私に勇気を与えてくれますわ」
以降はルートAを選択するラミス……。
『16回目』
走り出したが、躓き転倒し、失敗。
『17回目』
プリンセスキックで剣を奪い突き立てるも、鎧や兜に阻まれ無傷、失敗。……剣重すぎ案件。
『18回目』
音を立ててしまい気が付かれ、失敗。
『19回目』
カギがかかっている扉に体当たりするも、跳ね返されて、失敗。
『20回目』
扉に奪った剣を突き立てるも、重すぎたので、失敗。……剣重すぎ案件その弐。
~中略~
『27回目』
プリンセスキックで吹っ飛ばし、その隙に鍵を探す作戦を7回するが、失敗。
『28回目』
プリンセスキックで吹っ飛ばし、剣を奪い放り投げ拳で戦う作戦……。これが悪手だった。
姫は……お腹等を数回蹴られ苦しんだ。まだ楽に死ねる方が良かったと後悔した……。
失敗し、再び牢の中に戻る姫……。
……ラミスはあまりの苦しさに涙をぽろぽろと、こぼし……泣き出した。
「もう……イヤですわ……。」
当然だろう、この絶望的状況である。父は殺され、姉達の安否すら不明。……姫は幾度も「死ぬほどの痛み」を味わい、今まで耐えてきた。
……その様な絶望な中を、姫はたった一人で戦ってきたのだ。
「……ううっ。」
姫は涙を拭った。
「私は、絶対に諦めませんわ。」
ラミスは誓ったのだ……たとえどの様な事があろうとも、たとえどれだけ苦しもうとも。……まだ無事であろう妹に会うまでは、決して諦めないと……ラミスはそう、誓ったのである。
「私とした事が、少々取り乱しましたわ!」
「落ち着くのですわ……………………。」
「心を平静にして考えるのですわ……こんな時どうするか…………。」
落ち着くのよ……ラミス。今までの事を冷静に振り返って落ち着くのよ……。今まで何回、どの様に失敗したのか、冷静に考えるのですわ。
「えーと2、3、5、7、11、13、17、19、23、28……いや……違いますわ29ですわ」
28回失敗したので、今は「29回目」である。
「……あら?800ゴールドもするスカートにカエルさんが引っ付いてますわ?」
「何処から入って来たのかしら?……フフフ、私のお部屋にようこそですわ、小さなお客さん。」
……カエルさんに話かけ、現実逃避するラミス姫。
ラミスはぷるぷると可愛く首を降り、すくっと立ち上がる。……頬をぱしぱしと叩き活を入れ、再び歩き出した……。