表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣も魔法も全く使えない姫なので、物理〈拳〉で乗りきるしかありません!【プリンセス無双】さあ、優雅〈エレガント〉に参りますわよ!!  作者: 魔神
古の魔獣と龍の姫編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/164

第80話 「憂鬱ですわ」


ラミスは走っていた。

セルゲイに何度も挑んでは、敗れ。そしてまた西の村へと走り、そしてまたセルゲイに挑む。

ラミスはそれを、幾度となく繰り返した。気の遠くなる程の時間を、ただひたすら繰り返していた。

その終わる事の無い、苦しい死闘の中。ラミスは何度も死に戻り、そして天井を見上げ。時には涙を流し、ごろごろと転がっていた。

その終わる事の無い、絶望的な状況のさ中。……ラミスはぽつりと(つぶや)く。

「……ああ。お次はどんな技を、試そうかしら?」

…………。

何だか、思ったより楽しそうな姫様。

「ふふふ。あの技を使ったら、あの人は一体、(わたくし)にどんな顔を見せてくれるのかしら?」

ラミスはまるで、デートを楽しむ乙女の様に。楽しそうにわくわくし、ルンルン気分で走るラミス姫様。お弁当を作って、それを見た恋人が一体どんな顔をするのかしら?

……みたいな感じのノリで、技の話をし。鼻歌混じりに、ラミス姫は風の様に草原を駆け抜けて行く。

「らららーですわ。」

……うん。何だかとっても楽しそう。


──ひょこ。

何時(いつ)もの様に、窓からひょっこりと可愛く中を覗くお姫様。

「……何やら、話をしていますわね皆様。一体、何のお話をしていらっしゃるのかしら?とりあえず中に入りますわ。」

……そそくさ、そそくさ。

─バタン!

「お姉様ー。ラミスですわー。」

──ドカッ!

「たっ、大変です!グレミオ隊長!クリストフ将軍!敵兵がっ、ヘルニア兵がすぐそこまで来ています!」

「むぎゅっ。」

とりあえず、顔面から床に行くタイプのお姫様。

「む、むぎゅう。わっ、忘れてましたわー。」

仮にも一国の姫君である、ラミスを突き飛ばし、酷く青ざめる兵士をよそに。この圧倒的、起き上がりにくい空気の中。一体どの様に起き上がろうかと、必死に悩み考えるラミス姫様。

…………。

えーと、前回は確か。

「不敬ですわー!一国の姫である(わたくし)を、よりにもよって突き飛ばすなんて。言語道断ですわー、許されませんわー。よって極刑にして、差し上げますわー!」と、兵士に。

姫神拳(プリンセスしんけん)奥義、十六式プリンセス"肋折(コブラツイスト)り"を決めたのでしたわね。

周りは少々、ドン引きでしたが……。でも掛けられた兵士さんは、何故かとても嬉しそうな表情でしたわ……。

……何故かしら?

「?」

ラミスの頭の上に、ぽよんとハテナマークが浮かび上がる。

恐らく。兵士にとってそれは、何よりもご褒美だったのだろう。

……しかし、もうネタが無い。ラミスはこの圧倒的起き上がりにくい空気の中、今回は一体どうやって起き上がろうか、悩み考えるのだが……。

…………。

……今回は、諦めた。

仕方ないので、

「えへへ、痛いですわ。」

と、ラミスは照れながら起き上がった。

…………。

……?

何かしら?この空気感。うーん。ラミスは首を(かし)げる。

…………。

シンプルイズ・ザ・ベスト。

どうやら、殿方には単純な方が受けが良い模様だ。


……?

「やはり、ここは姫神拳(プリンセスしんけん)十七式のフェイスロックの方が、よろしかったかしら?」

…………。

姫様が思ってるより、単純な男性陣であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
何度も繰り返すセルゲイとの死闘!それをデートのように楽しめるラミちゃんはさすがです! そして、登場シーンでさえも試行錯誤するラミちゃん天才!もうラミちゃんグッズが発売されたら、買いたいくらいです(To…
ドジっ娘アピールあざとい‼️ ヾ(・ω・*)ノ え? ウケたの? 兵士たちは思ってた以上にチョロかったようで……。 (・–・;)ゞ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ