第７４話 「その身に刻むのですわ」
「くっ。囲んで一斉に殺れ！」
ヘルニア兵は指揮官の指示に従い、ラミスを囲み一斉に剣を突き立てる。
──バッ！
「そう何度も、同じ手は喰らいませんわよ？」
ラミスは天高く飛び上がり、華麗に空中を舞う。
──ドガガガガッ！
そして空中から蹴りを放ち、敵兵を吹き飛ばしていく。
「うおー！」
──！？
ラミスは背後の殺気を感じ取り、慌てて振り向く。背後からラミスに剣を突き立てる、ヘルニア兵。
「ムダですわよ？」
ラミスは華麗にくるんと、身を翻しヘルニア兵士に奥義を喰らわした。
「姫咬み！」
──ドゴォ！！
「……ぐっはぁ。」
……ヘルニア兵士は鎧を着けているのだから、もはやボディとかは全く関係が無い気もしないでも無い。
「痛いですわー。流石にまだ無理でしたわね……。」
痛がり涙目になるラミスだが。喰らったヘルニア兵は吹き飛び、そのまま起き上がらず……。その鎧はひしゃげていた。
「ひっ、退けぇ！」
退却して行くヘルニア兵士達。……そして現れる豚。
「ブヒィ！」
「ふふふ……。待っていましたわよ。豚さん。」
その化け物の異様な姿に、味方の兵士達は皆怯え恐怖する中。ラミスは拳を握り締め、顔に笑みを浮かべていた。
「……フフフ。覚悟なさい！今夜のメインディッシュにして差し上げますわ！！」
──したたたたたた！
ラミスは目にも止まらぬ速さで駆け抜け、そして天高く飛び上がる。
「さあ、貴方を倒す私の名前をその身に刻んで、教えて差し上げますわ！！」
──バリバリバリバリ！
ラミスは華麗に空中を舞い、その美しいお御足に雷が宿る。
……そうあの技を、今こそ使う刻が来たのだ。ミルフィーを救う時、土壇場で編み出したあの"闘神"の如く、蹴技を！！
「とくとその身に、刻みなさい！」
──プリンセス"雷鳴"！！
──ドガシャーーン！！
……その足技は、空を切り裂き、雷を走らせ、雷鳴を轟かせる。
姫神拳秘奥義、四十七式プリンセス雷鳴脚！！
……この前は、足が吹き飛んだが全く問題無い。ミルフィーの魔法で、回復出来る。豚さえ倒せれば、何ら問題は無い。
これで倒す事が出来たのならば、北の街に現れる豚五体も、ミルフィーと姉リンが居れば、ギリギリ何とかなるだろう。
ラミスは豚に、渾身の一撃を叩き込んだ。……その雷神の如く蹴技は、ラミスの脚に雷を宿らせ、激しい程の轟音を轟かし、ラミスと豚の体に電撃を走らせ。……感電させた。
「あばばばばばばば……。◯△◯」
感電し、真っ白に燃え尽きる姫様。
「あば……あばっ。あばば……。◯△◯」
……プスプス。
