第68話 「こんにちは、鎧ラミスです。ちょっと重たいですわ」
『9143回目』
ラミスはすたすたと歩き、廊下へと出る。
「何だ!?貴様は!」
当然、廊下の兵士ことゲイオルグに見つかるラミス。
…………。
「あら?」
「……あっ。私、すっかり忘れていましたわ。」
ドスドスと音を立てながら歩き、ラミスに近付いて行くゲイオルグ。
──ドカッ!
ラミスはゲイオルグを勢いよく蹴り飛ばし、素早く兜を奪い取る。
「き、貴様ぁ」
「……何だか、貴方との対戦は久しぶりな気が致しますわね。」
──バババッ!
ゲイオルグは何度も勢いよく斬りつけるが、その刃をひらりと、難なく回避していく姫様。
「……クッ!」
既に攻撃を完璧に見切っているラミスに、その刃が当たる事など無い。
つまり、ラミスがもうこの廊下の兵士ことゲイオルグに負ける事は、二度とあり得ないだろう。
ラミスはそこまで成長し、強くなっていた。
──ガスッ!
ラミスの強力な右ストレートが、ゲイオルグを襲う。
「ぐはっ!」
──しゅっ!
そしてラミスは空中を華麗に舞い、強烈な蹴りを放ちゲイオルグを地に沈めた。
…………。
「……それでは、何時もの様にカギと鎧を拝借致しますわ。」
──ガチャガチャ。
「よしっ。準備が整いましたわ。さあ、行きますわよ!」
ラミスはゲイオルグの鎧を身に纏い、ドアノブに手を掛ける。
…………。
…………。
「……よく考えたら、この鎧。必要あります??・~・」
…………。
……正直、必要無いだろう。今のラミスにとっては鎧など、ただの重りに過ぎない。
それに鎧を着て、ラミスの足に追い付ける事が出来る敵兵など、いるはずが無い。
「脱ぎ脱ぎしますわ。」
脱ぎ脱ぎする姫様。
──バタン!
ラミスは鎧を脱ぎ捨て、勢いよく扉を開け放った。
…………。
やはり居る。扉を開けたその向こうには、やはりヘルニア兵が四人居た。
「……ん?」
「へっへっへ……。何だぁ、お前は。」
ヘルニア兵士四人は、ラミスに近付き話しかけて来る。
「ごきげんよう。」
……ラミスは不敵にフッ、と笑い。
─ガスッ!
とりあえず、奥義を二つ程お見舞いし、走り去って行った。
もはや四人程度で、止められるラミス姫様ではない。
ラミスは扉を開けて、城の外に出る。城の外は何時もの光景である。呑気にたむろしているヘルニア兵士達。そして、奴隷の様に扱われている、愛する我が国民達。
とりあえず準備運動をする、ラミス。
「おいっちにー、ですわ。」
念入りに準備運動をする、姫様。
「準備運動は、大事ですわ。」
ふぅ。さて……。
息を吐き、にっこりと微笑む。
「おらぁー!!」
ラミスはとりあえず、ヘルニア兵士達に片っ端から飛び蹴りを喰らわしていった。
──ドガガガガガ!!
「ぐっ、ぐはぁ!」
──キッ。とヘルニア兵士達を睨み付けるラミス。
「貴方達……。」
「貴方達、少々お悪戯が過ぎますわよ!!」




