第62話 「ただし、その頃には私は八つ裂きになって死んでますわ」
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ラミスはミルフィーの手を握り締めながら、姉リンの姿を見る。リンは先ほどから何も喋らずに、ただ窓の外の景色をぼーっと眺めていた……。
…………。
今からラミスがする話は、荒唐無稽で確実性の全く無い話である。ただ単に、二人にぬか喜びをさせるだけなのかも知れない。
しかし、姉リンの持つ情報はかなり重要であり、姉妹達が持つ神々の力の件は、話しておくべきだろう。この古の神々の力こそがラミス達の希望であり、この困難な状況を切り開くカギとなるのだから。
「お姉様、ミルフィー。」
二人には、必ず話しておかなければならない。
「……大事なお話があります。」
ラミスは決意し、二人に話し始めた。
リンは静かに振り向き、ラミスの方を見る。ミルフィーは……。まだ布団の中で泣いている様だ。
…………。
「ナコッタお姉様を、生き返らせる方法が一つだけあります。」
…………。
「……何を言っているの?ラミス。言っていい冗談と悪い冗談があるわ。」
──ガバッ!
「おっ、お姉様。まさか!?」
リンは何の事だか、訳が分からない様子だが。ミルフィーは何かに気が付き、慌ててベッドから起き上がった。
「そうよミルフィー、私達に宿る神々の力よ。」
「……え?神々の力?ねえラミス……。一体何の話をしているの?」
…………。
「ミルフィーは幻術の力を。リンお姉様は猛将の力を。そして私には蘇生の力が、宿っておりますの。」
「蘇生!?本当なの?お姉様っ。」
「ちょっと、一体何の話よ!私にも分かる様に説明しなさいよ!」
…………。
ラミスは後ろを向き、スッとドレスを脱ぎ始める。
「ミルフィー、少し手伝って頂けるかしら?」
「はっ、はい。お姉様。」
ミルフィーに手伝って貰い、リンに背中を見せる。……その背中に宿す神々、フェニックスを。
「なっ……。何よっ!!それ。」
…………。
ラミスは乱れた衣服を戻し、そっとミルフィーを抱きしめる。
「お姉様……。私の背中にはフェニックスが。ミルフィーの背中にはドラゴンが宿っておりますのよ。」
ラミスは次に、ミルフィーの背中に宿る神々もリンに見せた。
「私達三人……。そしてナコッタお姉様に、古の伝承の神々が、お力を授けて下さいましたのよ……。」
「お姉様、本当なのですか?お姉様の力で、ナコッタお姉様を生き返らせる事が、出来るのですか?」
瞳を潤ませて姉に抱き付く、そんなミルフィーをラミスはもう一度そっと抱きしめた。
「ええ本当よ……。ミルフィー。今すぐには無理だけど、必ずもう一度ナコッタお姉様に、お会いする事が出来るわ……。」




