第38話 「考える事が多過ぎますわ」
……姉リンの居場所。
そして、もう一つの疑問。どうして姉ナコッタは、"神々の力"の存在を知らなかったのか……。
「……背中には、亀さんが宿っていましたわね。」
亀……。フェニックス、リヴァイアサン、そして亀。
……亀?
いや正確には違うのだが。……この際、それは置いといて。
落ち着いて今までの行動から、一度状況を整理してみる必要がある。
一つ目。……姉リンの居場所なのだが、何処に居るのか全く見当が付かなくなったのだ。
まだ城の中に居る可能性は若干有るものの、可能性は極めて低いと言えるだろう。城、街、村以外になると、かなり宛もなく探す事になる。
二つ目は、姉ナコッタの神々の力の存在である。
どうしてナコッタは、神々の力の存在を知らなかったのだろうか?ミルフィー曰く、神々の力を初めて使った時。突如、背中が光輝いた……と。
「確かにナコッタお姉様の背中には、神々が宿っておりましたわ。」
……つまり、何らかの力を使用した事がある。と考えるのが妥当だろう。
しかし、それが一体何の力かは分からないのだ。
「もう一度ナコッタお姉様に、お聞きしないといけませんわね……。」
三つ目は。……次どうするか、と言う正解ルートの確立である。
ミルフィールート。
ミルフィーには会えるものの、ヘルニア兵や豚に襲われてしまう。例え北の街へと逃げても、それは変わらない。ヘルニア帝国の大軍が押し寄せ、豚五体と対峙する事となる。
「やはり豚さんとは、何れ決着を付けないといけませんわね。」
ナコッタルート。
姉ナコッタには会えるものの、ヘルニア兵二百と強敵の剣士に襲われてしまう。……こちらは現状、姉すら救出不可能と言うしか無いだろう。
「……やはり、強敵ですわね。」
後は、城で奴隷の様な扱いを受けている民達の救出。……こちらも現状、今のラミス一人では全く何も出来ないだろう。
襲われている村二つも同様に、今のラミスにでは救う事が出来ないのである。
「前途多難ですわ……。」
──以上。これらの状況をラミス一人で解決するのは、土台無理な話である。
そして、一番問題なのが……。
ミルフィーと、姉ナコッタの居場所である。ミルフィーは東の山、ナコッタは西の村。
……つまりこの後どれだけラミスが頑張って強くなろうとも、救えるのは片方だけなのだ。
……それだけでは無い。
ラミスがこの後どの選択、どの行動を選んでも。……必ずミルフィーか姉ナコッタ、そのどちらかを、見殺しにしてしまう未来が待っていると言う事なのだ。
……例えラミスが死ねば、時が戻るとしても。やはりそれは考える度にラミスを苦しめ、胸が張り裂ける思いになる。
「駄目よラミス、割り切るのよ……。苦しんでるのは、他の民達も同じなのよ……。」
…………。
「負けては駄目よ……。ラミス、うう……。」
普段、気丈に振る舞うラミスだが。本来は戦いなどとは全く縁の無い、気弱な姫君なのである。
そんなラミスに……。ラミス姫たった一人に、この国と民の命運を背負わせるのは、流石に酷と言うものだ。
それでもラミスは立ち上がる。そして涙を拭き、再び戦場へと歩んで行った。




