表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣も魔法も全く使えない姫なので、物理〈拳〉で乗りきるしかありません!【プリンセス無双】さあ、優雅〈エレガント〉に参りますわよ!!  作者: 魔神
古の魔獣と龍の姫編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/164

第32話 「息が持ちませんわ」

ラミスは走っていた。

ツインデール城から北の街までの間には、五つの村が存在している。その村の(いず)れかに姉二人が居る筈なのだ。

……いや、居るに違いない。そう何度も自分に言い聞かせながら、ラミスは走り続けた。


ラミスは()ず北に走り、ツインデール城から一番近くにある東の村まで辿(たど)り着く。

辺りを必死で見回すラミスだが、その村には誰も居なかった。

「お姉様ー!!」

大声で呼んでみるが、やはり返事もない。何ヵ所か家の中も確認したが、誰一人見付ける事は出来なかった。

「ここの村の人は全員、北の街に避難した様ですわね……。」

姉二人の姿も見当たらない様である……。ラミスは次の村を目指す為、西に方角に走り出した。


長時間走り続け、ようやく次の村が見え始める。……だがラミスの足が、ふと止まる。

──煙!?

……火の手が上がっている?

嫌な予感がする。……ラミスは考えるより早く走り出していた。


──村が襲われている。

ラミスの、嫌な予感は的中していた。

……姉達は?……村の人は無事なのか?そもそも、敵は何人居るのだろうか?

「……はぁはぁ。」

流石に長時間走り続けた所為(せい)なのか、それともこの緊迫した状況の所為なのか……。

ラミスは息を乱し、思考を欠いていた。敵兵の数は?……()ずは、敵兵の数を確認をしなければならない。


ラミスは村に入り、急いで辺りを見回す。

……敵兵の数は、およそ五十人くらいだろうか?ラミスの目に、ふと襲われている一人の村人の姿が映り込んだ。

「ひぃぃぃぃ!」

その村人に、剣を振り下ろすヘルニア兵士……。


──たたたたたたたっ!

「そこまで、ですわ。」

──ドガッ!!

ラミスの飛び蹴りを喰らい、吹き飛ぶヘルニア兵士。

「……ひ、姫様!?」

「ここは(わたくし)に任せて、貴方は早くお逃げになって。」

ヘルニア兵達は、ラミスの元にぞろぞろと集まってくる。


「…………。」

「なんだぁ、てめぇは……。」

……ラミスは瞬く間に、十数人のヘルニア兵に囲まれてしまう。


──ドガッ!!

「先手必勝ですわ。」

これ以上増えると不味(まず)い。……ラミスは先手を取り、とりあえず一番身近に居る()を装着していないヘルニア兵士に、飛び蹴りを喰らわす。


ヘルニア帝国兵、十数人に囲まれるラミス姫様。絶望的なこの状況、ラミスに一つ利点があるとすれば。

……この麗しいら見た目である。

武器も持たず美しいドレスを身に着けた、うら若き令嬢ラミス。その見た目から誰もが油断し、(あなど)るに違いない。


しかし、それだけで倒せるのなら苦労は無い。ましてや、この場を覆すのは至難の技だろう。……いくらラミスが、あの屈強な戦士ゲイオルグに勝利したと言っても。それはあくまでラミスがゲイオルグ何度も戦い、攻撃を読み切っているからである。


それにラミスには一対一の経験しか、ほぼ無いのである。

……ラミスは今、自分がどれだけ戦えるのかすら分からなかった。

だが先ほど蹴り飛ばした兵士も、むくりとすぐに起き上がる。全くと言っていい程、ラミスの飛び蹴りも、効いてはいなかった様だ……。

だがラミスは、退くわけにはいかなかった。


「……逃げる訳には、参りませんわね。」

ラミスは愛する民を守る為、戦場に身を投じるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
囲んできた兵士がゲイオルグより弱いのか、それとも同じくらいなのか…同じくらいなら完全にじたばたタイムですね!(ToT)
ラミスは多人数プレイになれていないのですね。 (*´ω`*) ……いやだわ、お姉様。複数人相手にこなれたらもう淑女と呼べませんわ。 ってな訳で、サクッと殺っちゃってくださいませ! (╹▽╹)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ