第278話 「お姉様は、若く見えて羨ましいですわ」
「申し訳ありませんが、求婚の件は一旦保留にさせて頂きますわ。まだヘルニア帝国との戦いも終わっておりませんし、何より私は王子の事を良く知りませんの。まだ完全に信用している訳ではありませんし、今後の行動次第で考えさせて頂きますわ。」
「分かった……。僕は今後全力を尽くし、君の力になる事を約束するよ。」
フォーゲル王子との話し合いは終わり、王子や側近達を含めた細やかな夕食会が開かれる事となった。
「はぁ……。」
想い人であるラミス姫が、フォーゲル王子からの求婚を断った事に安堵する騎士グレミオ。
「良かったな。だが、相手は一国の王子だ……。手強いが、頑張れよ?俺は、お前を応援しているからな。」
肩をポンと叩き、同じ隊長であるギリアムが話し掛ける。
「ああ、頑張るよ……。」
一旦は安堵するものの……。王子と言う強力な恋敵の出現により、拭いきれない不安を感じるグレミオだった。
……しかしフォーゲル王子は、何故ラミス姫とミルフィー姫を間違えたのだろうか?
誰が一番美しいかは、この際置いといて……。
今までに一度もツインデール公国を訪れた事の無いフォーゲル王子は、ミルフィー姫の噂を風の頼りで聞かされていた。
ミルフィー姫が大陸一の美貌を持つ事は、ヘルニア帝国でも有名である。
しかし敵国であるヘルニア帝国に、ツインデール公国の詳しい情報が伝わる訳が無く……。
その為、フォーゲル王子が知るミルフィー姫の情報は───。
"大陸一美しい姫君"
"年の頃がフォーゲル王子と近い"
"姉妹の中で一番年下の妹"
……等の情報だけであった。
フォーゲル王子が謁見の間で、"姫"と認識した女性は全部で三人───。
その三人の中で一番大人の女性の魅力があり、大人しそうで知的な雰囲気を醸し出す、ナコッタ姫を長女と認識し。
女優顔負けの長身と、体型抜群のミルフィー姫を次女と認識していた。
そして三人の内で一番年下と思えるラミス姫をミルフィー姫と勘違いし、フォーゲル王子は結婚を申し込んだのである。
……勿論、フォーゲル王子の好みがラミス姫だった事は言うまでも無い。
…………。
──!?
……あれ?リンお姉ちゃんは!?
夕食を終え、自室で一人寛ぐフォーゲル王子。
フォーゲル王子はラミス姫とは別に、謁見の間で出会った、ある一人の女性の事が気になっていた。
そして考えれば考える程、その女性の事が頭から離れず……。王子は頭を悩ませていた。
「あの男の子の格好をした、偉そうなちびっ子は……。一体、何だったんだろう??」
当然ながら、リンは何時も白虎の双剣を肌身放さず帯刀している。
その為、偉そうに喋るリンを将軍か何かと勘違いして、なかなか眠る事が出来ないフォーゲル王子であった。




