第245話 「錆〈さ〉びてないか、心配ですわ」
ラミスが試してみたい事の二つ目とは、母を黄泉返らせる事であった。十年以上も前に亡くなった母……。
たとえ神々の力であっても、その様な昔に亡くなった人物を甦らせれるのかは分からない。
戦闘の役に立つ訳でも無い。この困難な状況を打ち破れる訳でも無い。……ただラミスは幼い頃に亡くした母に、一目でも良いから会いたかっただけなのである。
病や寿命で亡くなった人間を、甦らせる事が出来るかは分からない。大きくなったラミスを見て、母が戸惑う可能性もある。
それでも、もし神様に許して貰えるのなら───。ラミスはもう一度、母に会ってみたかった。
──ドゴォ!!
二日後、ツインデール公国を奪還する為に豚王に戦いを挑むラミス達。
経験値獲得の為、ラミスはバラン将軍と共に激しい死闘を繰り広げていた。
「ツインプリンセス"マグナム"!!」
──ズガシャーン!!
雷を帯びたの凄まじい連撃が、豚王に襲いかかる。……何気に新技を完成させる、ラミス姫様。
「…………。」
それを真剣な表情で見つめる父、カロン。愛する娘が必死に戦う姿を、父は優しく暖かい目で見守っていた。
「そろそろローストポークに、おなりなさーい!オルァアアー!プリンセス"三空殺"!!」
──ギュルン!
空中で有り得ない速度で回転し、ラミスは切り裂く旋風と共に第三の牙を放つ。
凄まじい閃光と雷鳴音が鳴り響き、辺り一面に衝撃波が飛び荒れる。
……しかし父カロンは、その衝撃波の余波に微動だにせず娘の戦いを見守っていた。
「はあっ!?」
あまりのラミスの強さに、目玉と舌が飛び出る程驚く父カロン。
「いやいやいや……。ははは、はあっ!?」
父カロンは腰を抜かし、その場に倒れ込んでしまった。
「はわわわわわわわわ……。」
いや、まあ……。始めてみたらビックリするよね、普通。
何とか豚王に勝利するラミスとバランの二人だが、ラミスが得られた経験値の量は極僅かであった。
……どうやら、ある程度手傷を負わせないと経験値は貰えない様である。残念……。
「すぐに宝物庫に向かいましょう、お父様。」
恒例のラミス姫様握手会を終わらせ、ラミス達は四神の武器を入手すべくツインデール城内へと入って行った。
「こっちだ。」
父に連れられ、まず宝物庫に向かうラミス姫一行。宝物庫の中はヘルニア兵に荒らされ、無惨な有り様であった。
まあ、粗方取り戻せたので問題は無いのだが……。それは置いといて。
父カロンは宝物庫奥の壁を念入りに調べ、壁の窪みを押し込んだ。




