第244話 「お止(や)め下さいませですわ」
「おーう、皆が無事で儂は嬉しいぞー!儂は儂は……。うわーん!」
……すりすりすり。
涙を流しながら全力で、すりすりする父カロン。姉リンは嫌悪感を露にしてそれを見つめ、ミルフィーは怯えながら姉を見守っていた。
「お父様?今は大事な、お話がありましてですわね……。」
……すりすりすり。
──つかつかつか、パーン!!
「げっはぁ!?」
──バキッ!!
「ギャース!!」
「ラミスが嫌がってるでしょーが、そろそろ止めないと殴るわよ!?」
引鉄は、必ず二度と引く主義の姉リン。……そして、殴ってから警告する主義のリンお姉ちゃんだった。
「出来れば、殴る前に言って欲しかったのだが……。おおう、とにかく無事で安心したぞ。我が、愛する娘達よ。」
これさえなければ良い父親なのに……。と、強く思う姉妹四人であった。いつの間にか戻っている姉ナコッタを交え、ラミスは今までに起こった事の説明を始める。
「……ふむ。」
ラミスは今までの経緯を、全て父に説明した。
ラミスの話に酷く驚いた表情を見せる父、カロン。特に姉妹に宿る、四神の話に強く興味を示していた。
「やはり、古の予言通りだったと言う訳か……。それならば、儂の知識が役に立つかも知れん。案内しよう……。着いてきなさい。」
そう言いながら父は立ち上がり、部屋の外へと歩いていった。
「あの……。お父様、一体どちらへ?」
「無論、我がツインデール城に決まっておるだろう。」
残念ながらツインデール城には豚王が居る為、今は戻れない事をラミスは父に伝えた。
そう、ラミス達がツインデール城に戻るのは……。バラン将軍を、もう一度復活させる事が出来るだけの魔力が回復した後なのである。
「それで、お父様……。ツインデール城に戻れば、一体何がありますの?」
「…………。」
父カロンはくるりと振り返り、ニヤリと笑いながら娘達に告げた。
「ツインデール城の地下神殿には、四神の武器が眠っておる。」
──四神の武器。
これは絶望の淵に立たされているラミス達にとって、思いがけない収穫であった。
二日間、待たなければならないのが残念な所ではあるのだが……。四神の武器があれば人狼王に勝利し、ヘルニア帝国を撃ち破る事が出来る様になるかも知れない。
その日、ラミスは期待に胸を膨らませながらベッドで眠りに就いた。……ラミスは夢の中で、昼間に聞いた父の話を思い出す。
『"四神の力"は背中に宿す神、そして四神の武器。双方の力を合わせて初めて、その真価を発揮するのだ。……お前達に宿る神々と四神の武器。その二つの力が合わされば、必ずや人狼王をに勝利し、ヘルニア帝国を撃ち破る事が可能となるだろう。』
……すりすりすり。
「お止め下さいませですわ、お父様。むにゃ、むにゃ……。」
夢の中でも、父のすりすりに耐えるラミス姫様であった。




