第242話 「二つ、ござりまするわ」
「…………。」
ラミスは、むくりと起き上がり何やら考え始める。
……今、ラミスが打てる策は何一つ存在しない。只ひたすら鍛練と回数を重ね、ラミス自身が強くなって道を切り開く方法しか残されてはいない。
その様な中で、ラミスは試してみたい事が二つあった。
だがそれは決して、この困難な状況を打ち破れる物では無い。……只、ラミスが試してみたいだけの事であった。
それは───。
一つ目は、父を甦らせる事である。
ラミスは、父を生き返らせるのは最後だと決めていた。
人の上に立つ者だからこそ自分の考えを優先し、私利私欲に走ってはいけないと考えていた。
つまり、ラミスが父を生き返らせるのは───。
ツインデール公国を守る為に散っていった勇者達、そして愛するツインデールの民達を全て生き返らせた後なのである。
……しかし、ラミスは父の書斎を思い出す。
父の書斎には、戦いに関する書物が幾つも残されていた。そしてその殆どが、この戦いに関する書物であった。
剣術や格闘術の書物、魔術に関する書物、古の時代に存在した怪物達の書物。……そして古の時代より伝わる、伝説の神々の力が記された書物。
……これは、偶然なのだろうか?果たして父は、この様な趣味を持つ人物だっただろうか?
ラミスはその事を、ずっと疑問に感じていた。
だがそれは、この絶望的な状況を打ち破れる物では決して無いのだろう……。父を生き返らせた所で、ラミス達の危機的状況は何ら変わる事が無いのかも知れない。
しかし、これだけ切羽詰まった状態なのだ。一度参考の為に、話だけでも聞いてみる価値はあるのかも知れない。
「……と言う訳で、お父様を黄泉返らせてみますわ!」
──ばーん。
──!?
「正気なの?ラミス……。」
「落ち着くのよ、ラミス!……一度落ち着いて、冷静に考えるのよ!」
「そ、そんな……。お父様を!?」
姉妹四人が集まる部屋に、何やら不穏な雰囲気が漂い始める。
「私達は神々の力の事を、お父様からお聞きしたのですわ。一度、お話を聞くのも良いかもしれませんわ。」
──ばーん。
空気を一切読む事無く、お話をお続けにならるラミス姫様。
「でもね、ラミス。私には神々の力"鑑定の力"が宿っているのよ?たとえお父様を生き返らせても、神々の力を超える情報が手に入るとは思えないわ。」
「ラミス、私もそう思うわ。ナコッタの言う通りよ。」
「そうですわ、お姉様。お父様を甦らせるのは、最後の方がよろしいですわ。」
確かに、姉達の言う通りなのだろう……。たとえ生き返らせたとしても、父の知識が神々の力"鑑定の力"を上回っているとはラミスにも思えなかった。
──しかし。
……え?そんなにお父さん、嫌われてるの?




