第240話 「私(わたくし)より強い奴に会いに行きますわ」
「プリンセス"雷鳴"!!」
──ズガシャーン!!
蛇王を豪快に蹴り飛ばすラミス姫様。
勝てないと分かっていても、闘わねばならない。たとえ死ぬと理解していても、挑まなければならない。……どんな絶望だろうと抗い、そして打ち砕かなくてはならないのだ。
沈む蛇王を空中で見ながら、ラミスは考える。
「そう言えば……。敵さんに"剣王"が一人居ましたわね。」
ホースデール王国防衛戦に於いて、強敵と呼べるのは二人。……人狼王と、ヘルニア帝国の"剣王"である。
ラミスは以前出会った、ヘルニア帝国の"剣王"の事を思い出していた。
「ちょっと"剣王"さんに闘いを挑んでキマスワー!!」
……うずうずラミス姫様。何処と無く楽しそうである。
ラミスもまた、同格の"拳王"の称号を保持しているのだ。
自分が一体どれだけ強くなっているのか、拳が疼くラミス姫様であった。
ホースデール王国に到着次第、プリンセス"雷龍"で灰色の人狼達を蹴散らしていくラミス姫様。
先へ進むと、バラン将軍とヘルニア帝国の"剣王"が死闘を繰り広げているのが目に入った。
どうやら、お目当ての"剣王"とは先にバラン将軍が闘っている様である。邪魔しては悪いので、今回は大人しく見ている事にした。
「オルァアアー!プリンセス"ナックル"!!」
──ドゴォ!!
とりあえず全力でヘルニア帝国の"剣王"に殴りにかかる、お淑やかなラミス姫様。
思い立ったら、即行動。とりあえず殴ってから考える。
──全てを拳で解決なさるのが、ラミス姫様である。
「ぐはぁっ!しょ……正気か、貴様!?」
致命傷は避けたものの、ラミスに殴り飛ばされるヘルニア帝国の"剣王"。
「……ひ、姫様!?」
「バラン将軍。割り込んでしまって申し訳ありませんが……。この闘い、私に譲って頂けませんこと?」
「それは構いませんが姫、お気を付け下さいませ。……奴はヘルニア帝国の"剣王"の一人です。」
「分かっていますわ。ふふふ……。」
ラミスは笑いながら、ゆっくりとヘルニア帝国の"剣王"の元に近付いていった。
「おいおい、嬢ちゃんよ。……正気か?お前みたいな華奢な体の嬢ちゃんが、この俺と闘える訳が無いだろ?俺は"剣王"だぜ?」
やはりラミス姫の、その麗しい見た目に惑わされているのだろうか?ヘルニア帝国の"剣王"はラミスの言葉を冗談だと思い、全く本気にしていなかった。
「あら、奇遇ですわね……。私の称号も"拳王"ですわよ?お名前を聞かせて頂けるかしら?……ヘルニア帝国の"剣王"さん。」
ラミスは今、自分が何れだけ闘えるのかを知りたかった。そして"剣王"と"拳王"───。
一体、どちらの方が強いのかと。……そして遂に、ラミスは"剣王"に闘いを挑む。
「さあ、優雅に参りますわ!」




