第235話 「立ち上がる気力もございませんわ」
『42627回目』
「はわ、はわわわわわわわわ……。0□0」っ
あの後、為す術も無くサクッと殺られ、再び薄暗い牢の中へと戻されるラミス姫様。
「……正気ですの?」
ツインデール公国とホースデール王国が誇る二人の"剣王"を、いとも容易く葬り去る人狼王の異様な迄の強さに……。
ラミスはぷるぷると震え、立ち上がる気力さえ失っていた。
「……本気で仰ってますの?」
……夢?もしくは、何かの錯覚では無いのだろうか?
いや、何かの見間違いなのかも知れない。……そう、頑張れば何とか倒せる強さなのかも知れない。
そう思い、ラミスは自らの拳を握り締め立ち上がる。
『42628回目』
確認の為、もう一周してみるラミス姫様だが……。
──チーン。
「夢じゃ無かったー。>△<」っ
無理だった……。それはあまりにも強く、正に圧倒的な強さを誇っていた。
"剣王"の称号を持つ、公国と王国が誇る最強の将軍達が、二人掛かりでも倒せない真の怪物を───。一体、どうやって倒せばいいと言うのだろうか?
二人の"剣王"を一瞬で切り裂く人狼王の、あまりもの恐ろしさに……。
ラミスは真っ白に燃え尽き放心状態となり、その口からは"エクトプラズムミニラミス"が「コンニチハ」をしていた。
「コンニチハー♪」ぱたぱた
「…………。」
為す術が無かった。バラン将軍ですら勝てないのであれば、もう打つ手が残されてはいない。
後はラミスがひたすら時間を掛け、地道な努力で強くなり、自力で倒す方法しか残されてはいないのだから……。
「……ぽけー、ですわ。・□・」っ
ぽけー。……ラミスは、もう立ち上がる気力さえ残ってはいなかった。
お口を、あんぐりと開け……。目が点になり、真っ白に燃え尽きて放心状態のラミス姫様。
ラミスは遠い目をしながら、いつまでも天井を只見つめていた……。
「フヒヒヒヒヒヒィ……。久しぶりだなぁ、姫。」
突如、何時もの様に扉を開き、シュヴァイン王子達が牢の中へと入ってくる。
「……ぽけー。・□・」っ
…………。
何時ものラミス姫様であれば……。「あら?ごきげんよう、シュヴァイン王子。」──キリッ。……っと凛々しく、プリンセス式挨拶を披露するラミス姫様なのだが……。
最早戦う気力さえも失ってしまったラミスは、シュヴァイン王子が入ってきても微動だにせず。冷たい床の上に横たわり、只ひたすら天井を見つめていた。




