第234話 「決めれませんでしたわ」
「そ、そんな……。首を斬られたのに、まだ生きていると言うの!?」
恐怖に顔が引き攣り、ラミスは後退る。
──ザッ!!
すぐに剣を構え、戦闘態勢に入る"剣王"バランとベルモント。
「アア、心配スルナ。キチント俺ハ死ンデイルシ、先程ノ戦イハ貴様ラノ勝チダカラ安心シロ……。」
首を断たれても尚、絶命せず問題無く喋り出す古の怪物に……。恐怖に凍り付くラミス達。
人狼王は意味不明な事を話しながら、薄気味悪くニヤリと笑っていた。
「シカシダ、俺ノ体ハ少々特別デナ……。変身ヲ残シテル状態デ死ンデモ、黄泉返ル事ガ出来ルンダヨ。」
「……変身?」
「見セテヤロウ、真ノ"王ノ名ヲ持ツ獣"ノ力ヲ───!!」
──ブワッ!!
人狼王の周りに紅蓮の如く赤い闘気が燃え上がり、人狼王の体を焼き尽くすかの様に包み込んで行く。
──ボゴォ!!
人狼王の体は完全に再生し、断たれた筈の首と胴体も繋がり元通りおなる。
……そして二倍程の大きさに巨大化し、その毛並みの色も白から炎の様な赤色へと変化していった。
「ガルルルルルルルル……。ドウダ!コレガ真ノ"王ノ名ヲ持ツ獣"ノ力───。人狼王〈ビーストモード〉ダ!!!」
「ぐっ……。」
バランとベルモントには分かっていた。その人狼王が持つ、絶望的な迄の力を───。
「アオーーーン!!」
激しい咆哮の様な雄叫びが聞こえ、人狼王は恐ろしい速さで襲いかかってきた。
──ザシュ!
それは一瞬の出来事だった……。バラン将軍もベルモント将軍も、神々の力で回復している筈なのだ。
──だが、それを一瞬で屠る人狼王〈ビーストモード〉。
それは、その場に居る全員が目を疑う様な光景であった。
二人の"剣王"を一瞬で切り裂く、真の人狼王の強さに……。ラミスは絶望し、只立ち尽くす事しか出来なかった。
「豚ヤ蛇ノ王ヲ倒シタ程度デ、意気ガルノハ止メテ貰オウカ……。蛇如キニ───。豚如キニ、王ヲ名乗ル資格ハ無イ!!」
……ラミス達は、思い違いをしていたのだ。
「コノ獣ノ王タル、コノ人狼王ダケガ───。王ヲ名乗ル資格ガ、アルノダ!!」
人狼王の言う通りだった……。
豚如きに王を名乗る資格は、最初から無かったのである。
豚が幾ら強くなろうとも、所詮は豚に過ぎないのだから───。
そう、人狼王こそが───。いや人狼王だけが王を名乗る資格があり、そして唯一の……。
──"王の名を持つ獣"なのだ。




