第233話 「絢爛〈ブリリアント〉に決めますわ」
ラミスは戦いの日々を振り返る。薄暗い牢の中で始まった、この戦いの日々───。
……ラミスは最初、何時も一人だった。
一人で戦い、一人で哀しみ、一人で絶望し、そして一人で立ち向かい続けた日々……。
──だけど、今は違う。
今は、こんなにも沢山の仲間達に囲まれ、ラミスは笑っていた。
豚王を倒して祖国、ツインデール公国を奪回したラミス。……そしてラミスは蛇王を倒し、人狼王をも打ち倒し、遂にホースデール王国を守る事に成功したのである。
だがヘルニア帝国との戦いは、まだ終わってはいない。またすぐにでも、違う王子率いるヘルニア帝国軍が攻めてくる事だろう。
──しかし、ラミスは信じていた。
たとえ、どんな強敵が現れようとも……。全員で力を合わせ、全力で立ち向かえば、どんな困難だろうと打ち破れる事を。
必ず道は切り開かれるのだと……。ラミスは、そう信じていた。
この先、ラミスの前には幾度と無く大きな壁が立ちはだかってくる事だろう。
絶望する程の強敵が、襲いかかってくるのかも知れない。
絶望に打ち拉がれ、立ち上がる事すら困難になるのかも知れない。
だがそれを"優雅"に打ち倒し、"絢爛"に切り開き、そして"美麗"に戦う───。
──それが、ラミス姫様なのである。
「さあ、優雅〈エレガント〉に参りますわよ!」
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『おじ様"剣王" ベルモント』
己の未熟さを痛感し、行く知れず一人旅立って行った。他国を回り本を書いていると噂されるが、その行方を知る者は少ない。
『期待の新星 スレイヴ』
クリストフと共に切磋琢磨し研鑽を積み、ホースデール王国が誇る大将軍へと成長する。だが本人はツインデール公国に移籍したい、とか考えているとか……。
『"凄腕の剣士" ゲイオス』
実力が認められ、正式にツインデール公国の隊長に就任する。腕を磨き、次は将軍の地位を目指し日々鍛練に励んでいる。
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「…………。」
戦いが終わり、崩壊したホースデール王国の街並みを見てラミスは憂いていた。
だが、それはツインデール公国も同じ事なのである。
ホースデール王国の人達には、少し申し訳ない所ではあるが……。ラミス達はツインデール公国に戻り、すぐに祖国を立て直さなくてはならなかった。
ラミスはそっと耳に手を当て、姉ナコッタと連絡を取る。
「ナコッタお姉様。私達も、そろそろそちらに戻ろうと思います。"転送の力"を、お願い致しま───────。」
「分かったわ、ラミス。……ラミス?……どうしたの?ラミス。」
急にラミスの声が聴こえなくなり、戸惑いを覚える姉ナコッタ。
「…………。」
「……ねえ、どうしたの?ラミス。」
ラミスは、その光景に震えていた。……確かに首を断った筈なのだ。
ラミスの視線の先には、先程確かに首を斬り落とした筈の人狼王が亡者の様に立ち上がり。
自分の首を右手で掴みながら、ラミスの姿を見ていたのである。
夕日を背に、人狼王は恐ろしい形相でラミスを睨み付けていた。




