第231話 「反撃開始と行きますわ」
「はあっ!!」
──ガキィン!!
二人の"剣王"の双刃が、人狼王に襲いかかる。
「何ダトッ!?」
人狼王も、流石に神々の力には驚きが隠せない様だ。
たとえ人狼王と言えど、迫り来る二人の"剣王"の斬撃の前では無事では済まされない。
次々と放たれる、凄まじい斬撃の数々に……。その身を斬り裂かれていく人狼王。
「二人共、流石ですわね……。」
流石、大陸に四人しか居ない。ツインデール公国とホースデール王国が誇る、二人の"剣王"達である。
しかし───。
「人間風情ガ、少シハヤル様ダナ……。ソロソロコチラモ、本気デ行カセテモラオウカ。」
──ギュオ!!
更に速度が増す人狼王。"剣王"の双刃を難なくと受け止め、その凄まじい速さで二人の"剣王"の体を切り裂いていく。
「がはっ!」
「……ぬぐっ!」
人狼王の速さは、明らかに二人の"剣王"を圧倒していた。
「そ、そんなっ!?二人掛かりでも、倒す事が出来ないと言うの?」
「はぁ、はぁ……。」
息を切らすバラン。
……いや、一番の問題はバラン将軍の体力だろう。
バラン将軍は先程、ヘルニア帝国の"剣王"との闘いを終えた直後なのである。
たとえツインデール公国が誇る、最強の将軍と言えども……。その傷付いた体では"剣王"と王の名を持つ獣との連戦には、流石に無理があったのだ。
──ザシュ!
「がはっ!」
圧倒的速度を誇る人狼王の爪で切り裂かれ、傷を負っていくバランとベルモントの両将。
その速度に、全く為す術がないと思われた二人だが───。
その巧みな連携により、次第に人狼王の動きに食らい付いていく。
──ドガガガガガガガガッ!!
「グッ、グウッ!?」
呼吸を完全に合わせた二人の"剣王"の斬撃は凄まじく、人狼王を力で捻じ伏せ追い詰めていった。
だが……。
──ザシュ!!
後一歩が足らず、人狼王の爪が、二人の体を引き裂いていく。
バラン将軍の体力が万全の状態であれば、勝利を掴む事が出来ていたのだろう……。
古の怪物達の驚異的な回復力は凄まじく、既に二人の"剣王"から受けた傷は完全に回復していた。
……逆に二人は体力を削られ、そして傷が開き。更なる絶望的な状況へと追いやられてしまっていた。
「ああ……。」
その圧倒する強さを前に、ラミスは悲痛な声を漏らす。そして……。
──ドシュ!!
人狼王の爪で、その体を撃ち貫かれる"剣王"ベルモント。
「ベルモント将軍!!」
「がはっ……。」
体に風穴を開けられ、口から血を吐くベルモント。……そして人狼王は勝ち誇った様に、ニヤリと笑っていた。
「人間ヨ……。獣ノ王タル、コノ人狼王相手ニ、ココマデ戦ッタ事ヲ誉メテヤロウ。ダガ所詮ハ、ココマデダ!!」
それは、圧倒的な強さだった……。たとえ"剣王"が二人居ても倒せない、真の怪物の存在に───。ラミスは恐怖に震え、絶望に打ち拉がれる事しか出来なかった。




