第230話 「また、出てきそうな予感が致しますわ」
ラミスの前に現れた、その白い毛並みを持つ人狼は、美しく白い毛並みを風に靡かせ、王者の風格を漂わせていた。
また新たな色の毛並みを持つ人狼が出てきそうな気がした為、一応確認を兼ねて狼さんに尋ねてみようと考えるラミス姫様。
「貴方が、その……。狼さんの王様で、よろしいのですの?」
答えてくれるかは、分からないのだが……。念の為、一応聞いてみるラミス姫様。
「ソノ通リダ、俺ガ人狼達ノ王、真ノ人狼王ダ!!」
……きちんと答え、名乗り出てくれる心優しい狼さんだった。
──しかし、不味い。
悠長に名前を聞いてる暇など、ラミスには無かったのである。
まず先に、ラミスはやるべき事が二つあった。
それは、姉ナコッタに宿る神々の力"守護の力"で守ってもらう事。
……そして"剣王"ベルモント将軍を"蘇生の力"で黄泉返らせる事。
「ナコッタお姉様、すぐに"守護の力"を───。」
急いで姉に呼び掛けるラミスだが……。残念ながら、それが間に合う事は無かった。
人狼王は目にも止まらぬ凄まじい速さでラミスに襲いかかってくる。
その人狼王の爪がラミスの首元を捉えても、ラミスは身動き一つ取れずにいた。
人狼王の爪がラミスの首を貫く、その瞬間───。
──ガキィン!!
その攻撃を、間一髪で防ぐ"剣王"バラン。
「バラン将軍!!」
「遅くなって申し訳ありません、姫様。」
バラン将軍が間に合い、何とか一命を取り留めるラミス。
どうやらバラン将軍はヘルニア帝国の"剣王"を倒し、すぐにラミスの元へ駆け付けてくれた様である。……その頼もしさに安堵するラミス。
「……ホウ。少シハヤル様ダナ、人間ヨ。」
人狼王の爪がバラン将軍に襲いかかる。
──ガキィン!!
激しく撃ち合う"剣王"バランと人狼王〈ウェアウルフキング〉。
──ドガガガガガガガガッ!!
その激しい攻撃の数々は、既にラミスの目では捉えきれず、全く見えてはいなかった。
「ぐっ……。」
人狼王の爪を受け、切り裂かれるバラン。
何とか致命傷は避けているものの、ラミスの目にもバラン将軍が追い込まれているのは明らかだった。
……確かに豚王は強かった。
あの硬い外皮に覆われた強固な防御力、そして恐ろしい迄の回復力。……その強靭さに、ラミス達は何度も苦しめられていた。
しかし、その豚王でさえもバラン将軍の剣技の前に圧倒されていたのである。
だが、この人狼王の強さは───。明らかにバラン将軍の強さを上回っていた。
その強さに絶望するラミス。この人狼王は豚王とは違い、バラン将軍一人では到底倒す事の出来ない、真の化け物なのだと理解する。
しかし───。
こちらには、"剣王"が二人居るのである。
ラミスの背が燃え盛る朱色の光を放ち、神々の力"蘇生の力"で死より舞い戻る"剣王"ベルモント。
「さあ、反撃開始と行きますわよ!!」




