第229話 「順番が間違っている気が致しますわ」
「ベルモント将軍!!」
ドサリと崩れ落ちるベルモントの元へ、慌てて駆け寄るラミス。
ベルモントの手によって、人狼王は討たれた。……流石は"剣王"の称号を持つベルモント将軍である。
本来であればホースデール王国を救い、古の怪物人狼王を討ち取った功績を讃え、労いの言葉を掛けたい所なのだが……。
まだ戦いは終わっていない。……そう、まだ"剣王"の称号を持つ、強敵が一人残っているのだ。
すぐにベルモント将軍を蘇生させ、バラン将軍の救援に回ってもらう必要があった。ラミスは急いで復活の舞を踊り、ベルモント将軍の魂を死者の国から呼び戻す。
「らっらー♪」
ずんちゃ♪ズンチャ♪と楽しい拍子と美しい調子で、軽やかに華々しく、そして楽しそうに舞い踊るラミス姫様。
くるくるくるー♪
くるくると舞い、どや顔でポーズを決めるラミス姫様。
「古の怪物を討ち倒す、王国が誇る最強の戦士ベルモントよ!朱雀の巫女である私の手で、今ここに黄泉返るのです!英・霊・召・還───。」
「姫ーーー!!!」
「……えっ?」
──ドシュ!!
身を呈してラミスを守り、人狼の爪で体を貫かれ……。まるで遅い映像の一齣の様に崩れ落ちるクリストフ将軍。
「そ、そんな……。」
その光景に酷く驚き、ラミスは恐怖に震えた。既に人狼王は倒した筈なのだ。
……残すは後、ヘルニア帝国の"剣王"唯一人だけの筈なのである。
「グルルルルルル……。」
しかし今、ラミスの目の前に居る人狼は───。新たな毛並みを持つ、人狼の姿だった。
「そ、そんな……。先程まで戦っていた緑色の毛並みを持つ人狼は、人狼王では無かったと言うの?」
その事実を突き付けられ、絶望に打ち拉がれるラミス。……そして、それと同時に理解する。
この新たな毛並みを持つ人狼は、先程倒した緑色の毛並みを持つ人狼よりも、遥かに強力な力を持つ……。
──真の怪物なのだと。
その恐ろしい怪物を前にして、ラミスは恐怖に震える事しか出来なかった。
そして、ラミスは知る事になる───。
いや、唐突に理解する。この新たな毛並みを持つ人狼こそが、この気高く真っ白で美しい毛並みを持つ人狼こそが……。
──王の名を持つ獣、真の人狼王〈ウェアウルフキング〉なのだと。
「…………。」
──いや、既視感!?
……いや、何回目なのよ!?以前にも、こんな事があった様な……。と、悩むラミス姫様。
しかし灰→青→黄→緑で、次は白?……何か、逆に弱くなっている気がしないでもない。
……何だろう?倒しても倒しても、次々と新しい色の人狼が出てきそうだと混乱し、頭を悩ませるラミス姫様だった。




