第228話 「狼さんが速過ぎますわ」
──バッ。
深手を負いながらもベルモントは、すぐに身構える。
「……ぐっ。」
ベルモント将軍の怪我の具合を心配するラミス。ベルモント将軍は既に先程の戦いで、かなりの手傷を負っていた。
だが緑色の毛並みを持つ人狼が、本当に人狼王であるならば───。
それを倒せるのは"剣王"の称号を持つ、ベルモント将軍だけなのである。
連戦続きで申し訳無い所ではあるのだが、ベルモント将軍には引き続き闘って頂くしか方法は無い。
「下等生物ガ……。我等ニ敵ウト思ッテイルノカ?」
──ドン!!
「ぐあっ!!」
人狼王は、凄まじい速さでベルモント将軍に襲いかかる。
何とか辛うじて攻撃を防ぐベルモント将軍だが……。人狼王の攻撃と、その動きがあまりにも速過ぎた。
「……は、速過ぎますわ。」
あまりにも速過ぎる動きに、ラミスとクリストフの目には最早人狼王の動きが全く捉える事が出来なかった。
……ラミスとクリストフが助けに入った所で、逆にベルモント将軍の足を引っ張ってしまい、更に状況が悪化してしまう事に成り兼ねないだろう。
──ガガガガガガガガガガッ!!
ラミスとクリストフは、その闘いを只見守る事しか出来なかった。
"剣王"と人狼王との間には誰一人、入れる余地は無かったのである。
──ガガガガガガガガガッ!!
目にも止まらぬ強者の攻防が、両者の間で繰り広げられる中……。ラミスは、何一つ出来ない自分が悔しかった。
……ラミスはベルモント将軍が勝つ事を、只祈る事しか出来なかったのである。
──ガキィン!!
苦戦するベルモント。何とか辛うじて、耐え凌いでいるベルモント将軍なのだが……。
やはり人狼王が強過ぎるのである。
"剣王"の称号を持つベルモント将軍を、一方的に追い込んでいく人狼王。
ベルモント将軍は防戦一方となり、全く身動きが取れないでいた。
その人狼王の強さは……。
──正に、圧倒的強さだった。
──ドシュ!!
「ぐはっ!!」
人狼王の鋭利な爪が、ベルモント将軍の体を貫く。
「ベルモント将軍!!」
「……勝負アッタ様ダナ!」
ベルモント将軍の体を撃ち貫き、ニヤリと笑う人狼王。……だがその表情は、すぐに固まる事になる。
「王の為……。そしてホースデール王国の為!俺は徒で死ぬ訳には行かぬ!冥土へは貴様も道連れだ!!」
ベルモントは人狼王の腕を掴み、思い切り大剣を叩き付けた。
「グアッ!!」
一撃をまともに喰らい、よろけて動きを止める人狼王。そこにベルモント将軍の放つ、全身全霊を込めた最後の一撃が襲いかかる。
──ザンッ!!
"剣王"の一撃に、真っ二つに斬り裂かれる人狼王。……それと同時にベルモントも力尽き、その場に崩れ去った。




