第225話 「狼さん退治ですわ」
ミルフィーに宿る神々の力"治療の力"で回復し、急いでホースデール王国へと向かうラミスとクリストフ。
ラミスがバラン将軍に頼んだ作戦とは、非常に簡単な物であった。
ベルモント将軍に倒せないのなら、代わりにバラン将軍にヘルニア帝国の"剣王"と闘ってもらうだけの話である。
その間、ベルモント将軍には人狼王と闘ってもらう事になるのだが……。先ずは、あの"剣王"を何とかしないと話が始まらない。
──ドガガガガガガガッ!!
ホースデール王国へと到着したラミスとクリストフの二人は、急いで辺りの状況を確認する。
──!?
前回より早く蛇王を討ち取り、ここホースデール王国にも早めに到着した筈なのである。
……しかし、その惨状は前回よりも酷い有り様であった。
崩壊したホースデール王国の街並み、飛び回る人狼達。……そして、激しく撃ち合うバラン将軍とヘルニア帝国の"剣王"。
「…………。」
二人の"剣王"が放つ、凄まじい斬撃の数々をを……。今のラミスでは、まだ捉える事が出来なかった。
どうやら二人の"剣王"の実力は互角の様である。……しかし、そこはバラン将軍を信じて勝利を祈るしかない。
だがバラン将軍が動けないが為に、大量の人狼達が暴れまわり、前回よりも街の被害が拡大していた。
「急いで人狼を止めないと、街の人達が……。行きますわよ、クリストフ!」
「はっ、姫様!」
──ドゴォ!!
ラミスは拳に闘気と雷を集束させ、襲い来る人狼達を次々と"マグナム"で撃ち貫いていく。
風圧で地面は抉れ、荒れ狂う龍の如く拳を放ち人狼達を大地に沈めていくラミス姫様。
長きに渡る心眼の特訓の成果により、ラミスの称号は"バトルマスター"からクリストフ将軍と同格の"拳聖"へと昇格していた。
もう既に灰色の人狼では、ラミスの相手にはならないだろう。……最早人狼如きに遅れを取る、ラミス姫では無かった。
──!?
「お姉様!!」
人狼の大群に囲まれ、力尽き倒れている姉リンと……。深手を負いながらもリンを守る為、必死に人狼達に抗い続ける一人の剣士の姿があった。
「獣如きが粋がるなよ!……今の俺は、只では死なん!手負いの剣士程、怖い物は無いと知れ!!」
凄まじい殺気を放ち、次々と人狼の体を斬り裂く剣士。
「クリストフ!」
「はっ、姫様!!」
二人を助ける為に懸命に走るラミス。……だがそれよりも速く、クリストフの剣閃が人狼の体を斬り裂いた。
すぐに二人の元に駆け寄るラミス。しかし姉リンではなく、ラミスは先に姉を必死に守っていた剣士に声を掛ける。
「こんな姿になるまで身を挺して、お姉様を守って下さったのですね……。私、ラミスは貴方に心から御礼を述べさせて頂きますわ。……感謝致しますわ、ゲイオス。」
ラミスはゲイオスの手を取り、にっこりと微笑みながら感謝を述べた。
「フッ……。主君を捨て、おめおめと生き恥を晒すのは御免だからな。」
その人物は"凄腕の剣士"ことゲイオスだった。ゲイオスはリンを守る為に、ぼろぼろの状態になるまで必死に戦っていたのである。
……ラミスは、その事を新たな仲間に心から感謝をした。




