第220話 「私〈わたくし〉には出来ませんわ」
──シュウゥゥン。
ホースデール王国に到着する、ラミスとクリストフ。……しかし二人は、壊滅したホースデール王国の光景に驚愕する。
──!?
「そんな……。間に合わなかったの?」
壊滅状態のホースデールの街並みに驚きながらも、必死で辺りを見回して状況を確認するラミス。
……いや、姉リンは生きていたのだ。まだ戦闘は続いている筈なのである。ラミスは必死で姉の姿を探す。
「姫様、こちらです!」
何かを発見し、走り出すクリストフ。ラミスも慌ててクリストフを追いかけ、そして走り出した。
「お姉様!!」
ラミスは傷付き、倒れている姉リンを発見する。
「どうやら、そっちは片付いた様ねラミス。……ぐっ。」
怪我が酷い……。リンは苦痛に顔を歪ませていた。そんな姉の体を、ラミスは優しく抱きしめる。
「ねえラミス、ミルフィーは何処?」
危険な戦場の為、ラミスはミルフィーをホースデール王国には連れて来てはいなかった。……そう四人で話し合って決めた事を、ラミスは思い出す。
……やはり、連れて来るべきだったのだろうか?ラミスは怪我で苦しむ姉の姿を見て、少し後悔をした。
「ぐっ……。」
リンはラミスの手を振り払い。地面に剣を刺し、必死に立ち上がろうとする。
「お姉様、ご無理はなさらないでっ!」
「……聞きなさい、ラミス。」
リンは真剣な眼差しでラミスを見つめ、話し掛けた。
「人狼達はバランが何とかしているわ。……人狼王もね。ヘルニア兵達も何とかレティシアが押さえ込んでいるわ。街はこんな状態だけど、一般人に被害は出ていないから安心して。」
一般人に被害が出ておらず、ホースデール王国は何とか持ちこたえている様である。
……しかしラミスの頭には、ある一つの疑問が浮かんでいた。
ホースデール王国には、もう一人の"剣王"ベルモント将軍が居る筈なのである。
二人の"剣王"の力を以ってしても、人狼王を止める事が出来ないのだろうか?
「クリストフ、その剣で私の首を斬りなさい。」
──!?
「お、お姉様!?一体何を……。」
……リンは、よろめきながらも懸命に立ち上がる。
「ミルフィーが居ないなら、回復は諦めるしか無いわね。でもラミス、一度死ねば貴女の力で復活する事が出来る。……そうよね?ラミス。」
……確かに、その通りである。しかし流石に姉を斬る事には抵抗があった。
どうしようと、戸惑いを覚えるラミスだが───。
姉の目は真剣だった……。
姉リンは必死に痛みに耐えながらも、一切の迷いが無く、揺るぎ無い信念でラミスを見つめていた。




