第219話 「すぐに、お姉様を助けに向かわねばなりませんわ」
倒れて動かなくなっているラミスの体を慌てて抱き起こし、ミルフィーは神々の力"治療の力"を使用しする。
──ぱぁっ。
神々の力により、瞬く間に回復するラミス。
「…………。」
恐怖に耐え、この蛇の死体が大量に横たわる中……。自分を助ける為に懸命に走り、震えながら涙を流す妹の頬に、ラミスはそっと愛おしそうに触れる。
「良く頑張ったわね、偉いわミルフィー。次はクリストフ将軍も、お願い出来るかしら?すぐに、リンお姉様の元に向かわないといけませんわ。」
「はっ、はい。お姉様。」
続いてミルフィーは、クリストフ将軍の目を治療する。ラミスはその間に姉ナコッタの元に走り寄り、あちらの状況を確かめて貰う事にした。
「ナコッタお姉様、あちらの……。リンお姉様達の、ご様子は如何でしょうか?」
「分かったわ。すぐに確認してみるわね、ラミス。」
ナコッタは神々の力"伝達の力"を使い、ホースデール王国で戦っている姉リンに話し掛ける。
「…………。」
ホースデール王国に居る、姉を心配するラミス。……いや今回は"剣王"の称号を持つ、公国最強の将軍であるバランが居るのだ。
……それに、もう一人の"剣王"ベルモント将軍の存在。
"剣王"の称号を持つ二人の将軍が居れば、たとえ人狼王が幾ら強かろうと、必ず勝利する事が出来るだろう。
きっと今頃、あちらも戦闘が終わり勝利しているに違いないと。……ラミスは、そう信じていた。
……しかし姉ナコッタの表情は、ラミスの予想とは裏腹に曇りを見せていた。
「何とか、持ちこたえている様なのだけれど……。かなり追い込まれていて、深刻な状態みたいなの。ラミス、すぐに行って上げて。……クリストフも、お願い出来るかしら?」
──!?
「はっ、姫様。無論であります。」
……驚くラミスだが、流石はクリストフ将軍。クリストフ将軍には、一切の動揺が感じられなかった。
拳を握り締め、ラミスも負けじと覚悟を決める。
「すぐに向かいましょう、クリストフ将軍。ナコッタお姉様、"転送の力"をお願い致しますわ。」
「ええ……。分かったわ、ラミス。」
ナコッタは神々の力"転送の力"を使い、ラミスとクリストフの二人をホースデール王国まで転送させた。
──ヒュウゥゥン。
「ラミス。リンお姉様を、お願いね……。」
「お姉様、ご無事で……。」
ナコッタとミルフィーの二人は、その消え行く光を何時までも見守っていた。




