第217話 「今、雷〈いかずち〉と化しますわ」
ラミスは、すうっと息を吸い込み呼吸を整え体に雷を纏う。体から無駄な力みが消え失せ、ラミスの全神経は最大限まで研ぎ澄まされていた。
ラミスの心は、清らかな湖の様に澄み渡り。
その意志は、世界に広がる大海原の様に揺るぎなく。
その身に纏う闘気は、草原に吹く微風の様に優しく舞い上がり。
その瞳に宿る炎は、全てを焼き尽くす業火の様に燃え盛っていた。
──そしてラミスは今、雷と一体化する。
その体を雷に乗せ、その心に全ての想いを乗せ……。ラミスは、稲妻の如く突き進む。
ラミスは天高く舞い上がり、凄まじい速度で回転し、一気に蛇王との距離を詰める。
……雷と一体化したラミスの技に、迷いなど何一つ無かった。
稲妻が走り、響き渡る雷鳴と共にラミスは第一の牙を放つ。
「真・プリンセス"雷牙"!!」
──スガシャーン!!
──ギュルン。
蛇王が吹き飛ばされるよりも早く、ラミスは空中で凄まじい速さで回転する。
嵐を巻き起こし、荒れ狂う竜巻と共にラミスは第二の牙を放つ。
「真・プリンセス"風牙"!!」
──ドゴォ!!
心から迷いが消えた、ラミスの新奥義の二段目が華麗に決まる。
本来"双牙"は二段技である。……しかし、この技は少し違う。
──このラミスの新たな奥義は、三段技である。
「はあーーーーーーーーー!!」
辺り一面に閃光が走り、ラミスの体を眩い光が包み込んで行く。
ラミスの体が煌煌しく光り輝き、切り裂く旋風と共に第三の牙を放つ。
「真・プリンセス"空牙"!!」
これが、ラミスが編み出した新たな奥義───。
──プリンセス"三空殺"である。
「あばーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?◯△○」あばばばばばば
……ぷすぷす。
新奥義は完成したものの、最後の詰めが甘く失敗して、あばあばしてしまうラミス姫様。
しかしラミスの新奥義を、まともに喰らった蛇王も無事では済まされない。
"三空殺"を喰らった蛇王は既に虫の息であり、瀕死の状態まで追い込まれていた。
……後一歩、後一歩で倒せるのである。王の名を持つ獣を、蛇王〈バジリスクキング〉を討つ事が出来るのである。
しかしラミスもまた力尽き、立ち上がる事さえ出来なかった。……このままでは回復されてしまう。
このままでは、再び蛇王の脅威的な回復力で再び再生され、今までの努力が無駄になってしまう。
──ギリッ。
ラミスは必死に歯を食い縛り、何とか懸命に立ち上がり大声で叫んだ。
「後は頼みましたわよ、クリストフ将軍!!」
「はっ、姫様ー!!」
相手が動かないのであれば問題は無い。相手が動かないのであれば、クリストフ将軍は全力で攻撃を放つ事が出来るのである。
「オオオオオオオオー!!」
クリストフ将軍の渾身の一撃が、瀕死の蛇王に襲いかかる。
──ザシュ!




