第216話 「あばあば、してしまいましたわ」
「あば……。あばばばば……。」
……ぷすぷす。
やはり、あの様な化け物に勝つ事など人間には不可能なのだろうか……。
目も見えない真っ暗闇の中では更に不安が増し、ラミスの心を強く締め付ける。
「うっ、うう……。」
身も心も真っ白に燃え尽き、ラミスは立ち上がる事が出来なかった。……そして、ぷすぷすと焦げるラミス姫の目から涙が零れ落ちる。
「もう無理ですわー!!」
……ラミスは転がった。
「あんな化け物に、人間が勝てる訳ありませんわー!!」
……ごろごろ、ごろごろ。
「もう蛇は、嫌ですわー!!」
……じたばた、じたばた。
遂にラミス姫の許容範囲が限界を突破し、面前でごろごろしてしまうラミス姫様。
「ギシャアー!!」
そんなごろごろを楽しむラミス姫様に、容赦無く襲いかかる蛇王。
──びちゃっ。
「あ"ーーーーーーーーーー!!0□0」っ
飛来する蛇王の"毒液"が、お顔に直撃していまうラミス姫様。
「痛いですわー!!」
……ごろごろ、ごろごろ。
「姫ー!!」
すぐにクリストフがラミスの元に駆け寄ってくる。
「死ぬかと思いましたわ。」
……むくり。
お顔に"毒液"の直撃を喰らってしまったラミス姫様。……美しい、お顔が台無しである。
しかし、この程度の毒でやられるラミス姫様ではない。
何度も蛇王の毒液を喰らい続けたラミスの体には、ある程度"毒液"に対する免疫が出来ていたのである。
……それにラミスに宿る神々の力"再生の力"もあり、"毒液"を全身に喰らわなければ問題は無かった。
しかし、もう打つ手が残されていない。……やはりラミスの新奥義を完成させなければ、蛇王を討つ事は出来ないのだろうか?
「ラミス……。」
何も出来ないナコッタとミルフィーの二人は互いに身を寄せ合い、祈る事しか出来なかった。
そんな中、ラミスの元にそっとクリストフが近付く。
「姫……。姫様の拳には、まだ迷いが残っております。」
「……え?迷い?」
クリストフは理解していた。……ラミスの技の欠点を。
「姫、雷を恐れてはなりません。姫様にとって、雷とは何なのでありましょうか?……恐れる敵なのでしょうか?それとも頼もしい味方なのでしょうか?姫、雷を恐れてはなりません。……雷を信じ、味方に変えるのです。」
「クリストフ将軍……。」
……その通りである。
ラミスは、この42625回と言う長い長い時を雷と共に過ごしてきた……。言わば雷はラミスにとって一番の武器であり、一番身近な存在なのである。
「感謝致しますわ……。クリストフ将軍。」
「はっ……。姫様。」
ラミスの体からは、力が抜けていた。
自分を信じ、雷を纏い。……そして、雷を味方に加えるラミス。
今のラミスになら新奥義"双牙"を昇華させ、蛇王を討つ事が出来る真の奥義を完成させる事が可能なのかも知れない。
……そしてラミスの心からは、完全に迷いが消えていた。




