第215話 「あばあばは、しませんわ」
──ザシュ!
クリストフ将軍の援護が間に合い、何とか一命を取り留めるラミス姫様。
そして雷の暴発も凄まじく、ラミスに宿る神々の力"再生の力"が無ければ命を落としていた事だろう。
しかし蛇王を倒す為には、この新奥義を完成させるか、雷の暴発に耐えるしか方法は無い。
ラミスは何とか起き上がり、体の回復と共に再び新奥義を試みる。
「あばあばは、後ですわー!!」
──ドゴォ!!
ラミス姫の強烈な蹴りが決まり、のたうち回る蛇王。ラミスの新奥義をまともに喰らっては、蛇王と言えども無事では済まされない。
──しかし。
「あばーーーーーーー!!◯△○」あばばばばば
……ぴくぴく。
ラミス自身も雷の暴走に耐えきれず、真っ白に燃え尽きてしまう……。
「あば、あばば……。о△о」っ
……ぷるぷる。
「姫ー!!」
そして、すぐさま助けに入るクリストフ。
たとえ、どんなに威力の高い奥義であろうとも……。未完成では意味が無かった。
……残念ながら、ラミスの放つ新奥義"双牙"は一撃の技では無い。その追撃の一撃を放ってこそ、真の威力を発揮する奥義なのである。
「あばあばは、後ですわ!!」
ラミスは諦める事なく、何度でも立ち上がった。
ラミスは全身を研ぎ澄まし、全神経を集中させる。……あばあば、している時間など無い。
何とか雷に耐え凌ぎ、一瞬で奥義を炸裂させれば勝利への道が開かれるのである。
……後一歩。その一歩に、ラミスは苦しめられていた。
ラミスは強く拳を握り締め、心に誓う。
──必ず、雷に耐えて見せると。
奴を……。蛇王〈バジリスクキング〉を倒すまでは死に物狂いで雷に耐え凌ぎ、そして最後まで"双牙"を放ってみせるのだと……。
ラミスは、そう天に誓ったのだ。
「……行きますわよ!」
──バチッ、バチバチバチ!!
ラミスの表情が、勇ましい表情に変わる。凛々しく、猛々しく、美しく。……そして誰よりも優雅に。
ラミスは全身に眩い闘気を放ち、嵐の如き旋風と共に、その身に雷を纏う。
今やらねば……。そう、今が勝利の刻なのだ。
──しゅばっ!
ラミスは天高く舞い上がり、稲妻の如く加速し凄まじい速度で回転をする。
そして蛇王に、全身全霊を込めて最後の一撃を放つ。
「これでっ、フィニッシュですわー!!」
──ズガシャーン!!
稲妻が走り轟音と共に、第一の牙"雷牙"を放つ。
「プリンセス"雷牙"!!」
──ドゴォ!!
蛇王に強烈な一撃が決まる。
──ギュルン。
蛇王が吹き飛ぶよりも早く、ラミスは空中で回転し第二の牙を放つ。
……もう、あばあばはしない。あばあばしている暇は無い。
今ならいける、今なら……。第二の牙を放ち、新奥義を完成させる事が出来るのだと。
──ラミスは、そう確信をする。
「あばあばは、しません!」
──キリッ。
「一度蹴ったら、あばーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?◯△○」あばばばばばば
……ぷしゅー。
やはり真っ白に燃え尽きてしまい、あばあばしてしまうラミス姫様だった。




