第213話 「溶けてしまいますわ」
「ラミスー!!」
大量の蛇の中に飛び込んで行く、ラミスとクリストフを心配しナコッタが叫ぶ。
千体以上は軽く居るだろう……。見渡す限りの蛇に囲まれては、誰でも不安に駆られてしまうに違いない。
──ドゴォ!!
それを拳で難なく葬っていく、ラミスとクリストフ将軍。
心眼を極めたラミスの前では蛇如き、既に敵では無かったのだ。
「プリンセス"マグナム"!!」
──ドゴォ!!
ラミスの拳が唸り、次々と蛇の体を切り裂く。……しかし、蛇の数が多過ぎる。
「クリストフ将軍、少々下がって頂けるかしら?……あれをやりますわ。」
「……はっ、姫様。」
──バリッ、バリバリバリ!!
ラミスの周りに雷が走り、その走る雷を己の身に纏いながらラミスは構える。
「痺れさせてあげますわ!」
──プリンセス"雷龍"!!
辺り一面に爆音が轟き、凄まじい閃光が走る。雷を纏うラミスの蹴りにより、千を超える蛇の体が一瞬にして切り裂かれていく。
長く辛い修行の日々を乗り越え、ラミスは心眼だけでなくラミス自身の強さも更なる段階へと進んでいた。
「……姫、お見事です。」
「す、凄いわラミス。こんなにも、強くなっているなんて……。」
千を超える蛇を打ち倒すラミス達。……しかし問題は、ここからである。
「ギシャアー!!」
──蛇王〈バジリスクキング〉。
巨大な蛇の化け物が、空の彼方より飛来する。
「ああ、そんな……。」
その異様とも言える恐ろしい化け物の姿に、ナコッタは悲痛な声を漏らした。
──ヒュッ!
蛇王の攻撃を何とか回避すラミスとクリストフの二人。
「…………。」
蛇王の最大の攻撃……。いやラミスが絶望し、蛇が嫌いになる程苦しめられている蛇王の強さは三つ。
一つ目は勿論"石化"である。……こちらは目を潰し、既に対策済みなので問題は無い。
しかし二つ目の高速で飛来する"毒液"に、ラミス達は何度も苦しめられていたのである。
一度でも喰らうと身動きが取れなくなり、じわじわと体を溶かされていってしまう蛇王の猛毒。
そして何より、その驚異的な速度と無音で飛んでくる事が一番厄介な所である。……目が見えない状況では、心眼に頼るしか方法が残されていなかった。
その為、ラミスは毒液を回避する為だけに四年近くも歳月を必要としていたのである。
蛇王の他の攻撃は"噛みつき"と"巻き付き"であるが、毒液の怖さと比べれば全く問題なく、今のラミスには気にする程の攻撃では無かった。
そして一番問題なのが、残された三つ目である。




