第212話 「蛇さん退治と、参りますわ」
「…………。」
「…………。」
目隠しをして、神経を研ぎ澄ますラミス。ラミスはゲイオスに勝利した後、北の街に向かい何時もの様に鍛練に励んでいた。
ギリアムに勝利し、そしてガルガに勝利を収め。ラミスは今、姉リンとの鍛練に勤しんでいた。
──ガキィン!
目隠しをした状態で、"ソードマスター"の称号を持つ姉リンと、互角に攻防を繰り広げるラミス姫様。
──しゅばばばばばばばばっ!
ラミスはクリストフ将軍と同程度の"心眼"を会得するまでに、成長していたのである。
己の神経を研ぎ澄ませ、心の目だけで姉リンの放つ高速の斬撃を次々と回避していくラミス。
ラミスは、その戦いの最中想う。……後、一歩足らないと。
蛇王に勝利する為には、後一歩が足らないとラミスは苦悩していた。
……ラミスは、悔しさに拳を握り締める。この様な仕上がっていない状態でも、ヘルニア帝国と蛇王は襲ってくるのである。
たとえ、勝てないと分かっていても……。ラミスはツインデール公国と公国の民、全員の命を背負って戦わねばならないのである。
ツインデール公国を守る為に、また愛する人達を守る為に……。ラミスは蛇王に挑む決意をする。
ラミス達は何時もの様に隊を分け、配置に付く。
ツインデール公国にはラミス、クリストフ、ナコッタ、ミルフィーの四人。
北の街にはリン、バラン、そして隊長の五人。
目の見えない状態ではバラン将軍より、クリストフ将軍の方が蛇王との戦いに順応が出来る為。公国の最大戦力であるバラン将軍には、目を潰さずに普通に戦って貰う方が得策であると考えた。
バラン将軍には北の街の守りに就いて貰い、そのままホースデール王国に向かって貰う方が効率的なのだろう。
……そして新加入の"凄腕の剣士"こと、ゲイオス。ゲイオスは姉リン並みの強さを誇り"ソードマスター"の称号を持つ実力者である。
かなりの戦力と、なるに違いない。
ゲイオスは元々雇われの傭兵であり、ヘルニア帝国の人間では無かった為、自らこの戦いに志願した。
「ラミス、聞こえる?状況は、こちらが詳しく報告するわ。周りに敵が居ない時なら、ミルフィーの持つ神々の力"治癒の力"も使えるわ。……全員で力を合わせれば、きっと道は開ける筈よ。頑張りましょう!」
この何も見えない暗闇の中で……。姉ナコッタの声が、どれ程ラミスに有り難かったのかを言葉で説明するのは形容し難い。
ラミスは常に姉の言葉に支えられ、そして励まされ続けていた。
──しかし、今のラミスは違う。長きに渡る辛い修行を乗り越え、"心眼"を会得した今のラミスには既に恐怖などは無かったのである。
「大丈夫ですわ、ナコッタお姉様。もう、このヘ───。」
──ビクゥ!
「怪物さんとは何度も戦っておりますから、ご心配いりませんわ。嫌でも配置は覚えておりますわ。」
「……そう。でも気を付けてね、ラミス。」
「それでは、行って参りますわ。お姉様。」
ラミスは拳を握り締め、大量の蛇の中へと走り出した。
「蛇さん退治と、参りますわよ!」




