第205話 「……一体、どう言う事か分かりませんわ」
「…………。」
……どうしようと悩む、ラミス姫様。
先程のゲイオルグの件もあり、流石に良心の呵責に苛まれ。……ラミスには、もうヘルニア兵達を攻撃する事が出来なくなってしまっていた。
ラミスの頬に、一筋の涙が伝う。
……ラミスは想う。ヘルニア兵士の中には、こんなにも心優しい人達が居るのだと。ヘルニア兵の優しさを知り、ラミス姫の瞳から大量の涙が溢れだした。
……ラミスの心から憎しみが消え失せ、そしてヘルニア帝国への戦意も完全に失われていった。
「ヘルニア帝国の皆さん……。」
ラミスは潤んだ瞳で、ヘルニア兵を見つめる。
「へっ、良いって事よ。困った時はお互い様だぜ?……嬢ちゃんよぉ。」
──キリッ!
……確かにヘルニア帝国は敵なのかも知れない。打倒すべき、敵なのかも知れない。
しかし、今この瞬間。……ラミスとヘルニア兵士との間で、確かな友情が芽生えていたのである。
……そんな友に、ラミスは拳を向ける事が出来なかった。
──だが、それとこれとは話が別である。
「オルァァア!!」
──ばちこーん!
「ギャース!!」
ばちこーんと、容赦なくヘルニア兵士をブチのめしていくラミス姫様。
……そう、ここは戦場なのである。敵に容赦等を掛けていては、この先生き残る事など出来ない!!
ヘルニア兵士に情けを掛けていては、誰一人救えないのである。
たとえどんな理由があろうとも、他国に侵攻し愛する国民達を虐げ、そして幼き子供達を奴隷の様に扱うなど言語道断なのだ。
「私の、お家はここですわー!!」
──ばちこーん!!
……そうヘルニア帝国兵が占領し、我が物顔で居座っているツインデール城こそ、ラミス姫のお家に他ならない。
「オルァァア!天誅ー!!」
──ばちこーん!
「ギャース!!」
極悪非道、極まりないヘルニア兵士に裁きの鉄槌を下すラミス姫様。
ヘルニア帝国を……。血も涙もないヘルニア兵を、許してはならないのである。
悪を許さない、ラミス姫の高潔な血が。……それを赦す訳はにはいかなかった。
祖国ツインデール公国を救う為、そして蛇王を討つまでは……。
──ラミスには迷っている時間等、無いのである。
悪・即・斬!──即ち、悪は滅するのみ!!
──くるくるくる。
ラミスはヘルニア兵を殴り飛ばし、くるくると華麗に回転し始める。
「ツインデール公国に侵攻し、お父様を殺め、そして愛する国民達への悪行の数々……。たとえ天が許しても、このラミチュが許ちまちぇんわ!!」
……また噛んだ。




