第14話 「楽しそうなお遊戯ですわ」
……お姉様達が無事で良かった。今のラミスにこれほど嬉しい知らせは無いと、涙を流し心から喜んだ。
……そして、いつもの様に大の字で寝転がり……天井を……。
……!?
「あら?」
……ラミスが目を開くと、まだ兵士が居た。……もちろん王子も転がっていた。
……!?
ラミスも「?」状態なのだが、兵士達も困惑しながら顔を見合わせていた。
…………?
兵士は気を取り直し、再度ラミスに近付き剣を振り下ろした……。
……ラミスは恐怖で目を瞑り、そのまま意識を失っ…………。
……!?
「……あら?」
……どういう事だろう?痛くもないし、時間も戻っていない、それに兵士がまだ目の前にいるのだ……。
……兵士もかなり困惑している様子なのだが、再びラミスに剣を突き立てる……。
……ひょい。
突き立てる!
……ひょい。
振り下ろす!
……ひょい。
切り払う!
……ひょい。
再度、突き立てる!
……ひょい。
……?
「あの……何を遊んでらっしゃいますの?」
ラミスには、"それ"が遊んでいる様にしか見えなかった……。それはまるで子供のお遊戯の様に、剣のおもちゃで遊ぶ子供達の様にしか、見えなかった……。
……それほどまでに、廊下にいる兵士とこの二人の兵士では、強さに違いが合ったのだ。それもそのはずである。……廊下にいる兵士は、毎日の様に厳しい訓練に耐え、戦場経験も何度もある屈強な兵士である。それに引き換え、二人の兵士は貴族のお坊ちゃんであり、戦場経験所か訓練すら、ろくにした事が無い兵士なのだから……。
ラミスはしばらく考えた後、頭にキュピーンと豆電球が閃き。……次の瞬間、兵士に飛び掛かった。
「──ツインプリンセスキック!」
ラミスは弧を描くように、華麗に空中を舞った……。
「ぐはあっ。」
吹き飛ぶ兵士二人。……その拍子に兜も吹き飛んだ。廊下の兵士と違い、フルフェイスタイプではなく、普通の兜なので外れやすかった。
「……貴様ァ!」
叫ぶ兵士だが、叫ぶと同時に……。
──ガスッ!
……ラミスの拳を喰らい、地に沈む兵士。
「うわあああああ!」
もう一人の兵士も叫びながら、ラミス目掛けて突進してくるのだが……。
……既にラミスの敵では無かった。
──ゴス!
華麗に回避し、裏拳を兵士に喰らわした。
「ふぅ。」
……ラミスは自分の実力に驚いた。……今までの闘いは、今までの努力は……無駄では無かったと。……そう、実感した。
……そしてラミスは歩き出し、また戦場へと向かって行った。