表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/112

第12話 「もう二度と、弱音は吐きませんわ」

……そして大の字に寝転がり、天井を眺める姫様。

あの後すぐに次の攻撃を喰らい、再び牢の中に戻されたのだ。兵士に敗北はしたものの、初めてこちらの攻撃が、兵士に当たったのだ。

……ラミスはまた一歩、脱出に近付いたと確信するのだが。……またもや姫に試練が訪れ、壁に当たってしまう。


……先ほどの戦いでは運良く3回、兵士の攻撃に対応し回避出来たものの、運が悪ければ一度目の攻撃を喰らったり、またこちらは防戦一方になり、攻撃にすら移れない。……その様な失敗、敗北を……幾度となく繰り返した。


当然ではあるが、兵士と姫の戦闘能力にはそれほどまでに差があった。


……しかし、ラミスは……挫ける事無く、果敢に挑み続けた。例えどんなに苦しもうとも、どんなに涙を流そうとも、この先にどんなに困難が待っていようとしても。……脱出するまでは決して諦めないと、決して弱音は吐かないと。……そして必ず無事であろう妹に会うまでは…………もう二度と、大の字で寝転がったりしないと……そう、心に誓ったのだ!!


──そしてラミスは、勇猛果敢に挑み……その拳を、怒りを、兵士の顔面に叩きつけた!


──────────。


「むーーりーーー!」

また、大の字で寝転がり手足をじたばたするラミス姫。

「もう、やーだーー。」

泣きながら、ごろごろ転がる姫。


「やですわーーー!」

もう、転がるしか無かった。転がるしか……それほどまでにラミスの心をへし折った、その"壁"とは……。


──時は数刻、(さかのぼ)り……。

ラミス姫の前回の戦いに戻る……。


『2719回目』


ラミスは、そっと瞳を閉じ五つ数える……。

そして息を吐き、扉を押し開け走り出した。


だだだだだだだだだだだだだっ!

とりあえず、初手"ドロップキック"。これは揺るがない!

「往生しやがれ……ですわ。」


即、兜を奪い投げ捨てる……。立ち上がり、セリフを吐く兵士……。

──ゴスッ!

「ぐわぁ!」

──の、顔面に一撃を叩き込むラミス。


兵士は怒り、剣を掲げながら姫に向かって走り出し、その剣を振り下ろす。

1、2……3回、その刃をラミスは華麗な足捌(ステップ)で回避する。


そして、隙を見て近寄り……兵士の顔に数発の拳を叩き込んだ。


「き、貴様ぁ!」


……ラミスは、兵士の攻撃をほぼ見切っていた。稀に運悪く攻撃を喰らい、力尽きる事もあるが……。そう易々とは攻撃を喰らわない境地にまで達していた……。


なおも、攻撃を華麗に舞う様に回避(かわ)す姫。……そして幾度も拳を、兵士に叩き込む。

「ぐうっ!!」


その姫の姿は誰が見ても、兵士を圧倒していた。


……だが、それと同時に……ラミスは絶望していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
2719回目の「見慣れた天井だ」ですね。 ここまで強くなったのなら、あと少しで撃破も可能では? (╹▽╹) 何故に絶望を? (。ŏ﹏ŏ)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ