第108話 「私〈わたくし〉がっ!私〈わたくし〉の力ですわ」
ラミスはその後。ユミナと別れ別行動をし、西の村へと向かう。最近は何時も豚や豚王と戦っていた為、今回は久しぶりにナコッタルートである西の村に向かおうと考えた。たまにはあの凄腕の剣士ことゲイオスと戦い、姉ナコッタやリンに会いたくなるラミス姫様であった。
勿論それもあるのだが、やはり一番はユミナの事だ。あれからラミスは、他にも生き返るのでは無いか、と色々試したのだが。ユミナの様に生き返ったり、いきなり人が現れる事は無かった。
これはラミスに宿る、新たな神々の力の一つなのだろうか?恐らくは、人を生き返らせる事の出来る力なのだと思われる。
確認の為、ラミスはその事を姉達四人と久しぶりに会って話をしてみたかった。
「……くっ。」
やはり強い。まだまだゲイオスの速さに、付いて行く事が出来ない自分の弱さに苛立ちを覚えた。
自分の未熟さを、弱さを悔しがるラミスだが。今回も何とか姉リンが間に合い、ゲイオスに勝利する。
そしてラミス達は北の街へと向かい、その夜ユミナを交えて神々の事に付いて話し合いを始めた。
…………。
初手、姫。
前方、姫。
ライトもれなく、姫。
レフトも安心の姫。
姫、姫、姫、姫……そして、一般人のユミナ。
……がくがく。
いや、ぷるぷると子羊の様に震えるユミナ嬢。
「ひ、ひええ……。あ、あの私。はじ、はじはじ、はじめまひて……。ひゃいっ。」
……姫。そんな姫四人の中に一般人入れたら駄目ですって。こうなりますって。
「……あはは。」
今、この場でユミナの気持ちを察しているのは姉ナコッタだけだろう。それに引き換え、全く気にしていない姉リン。
「誰ー?」
「ひゃ、ひゃい。……あわわわわわ。」
「じゃーん♪この方は、ユミナさんですわ。私の力で生き返らせましたー!わー♪はい、拍手ー♪ぱちぱちぱち。」
「私がっ!」
……どやっ。
「私の力でっ!!」
……ばーん♪
「えっ?やっぱり、私死んじゃってたんですかー!?」
楽しそうに話す、四人と一人。ラミスは新しい神々の力を探る為、詳しく話を聞こうと参考にユミナを連れて来たのだが。ラミス以外の神々の力についても、話し合ったものの特に何も新しい発見などは無かく、神々の力については何も分からず仕舞いだった。
その後も、ラミスは何度も生き返りの力を試し。何度生き返れと願っても、ユミナ以外の人物が生き返る事は無かったのである。
……ラミスのこの新たな力には、数々の疑問が残る所である。しかし、後日。ヘルニアの軍勢が攻めて来た翌日の夜、事態は急変する事になる。