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第105話 「何か言いまして?私〈わたくし〉よく聞こえませんでしたわ」

よし、一体落ち着こう。一体落ち着いて、一つ一つ確認するのよ?ラミス。


この女性兵士の名前はユミナさん。ラミスが小さい頃、ミルフィーと一緒に北の街の伯爵家に向かう途中。お姫様の馬車を一目見ようと、大勢の人達が道沿いに集まりラミス達が乗る馬車を見ていた。その時、一人の少女が姫に花を渡そうと飛び出し、(つまず)き転倒したのである。ラミスは馬車から降りて少女の元に駆け寄り、その少女に声をかける。

「あなた大丈夫?どこかケガしてない?」

その時の少女ユミナ。ラミスはその時の事をよく覚えていた。

ユミナはその時のラミス姫の優しさに感激し、姫を守る為に兵士に志願したらしい。

いや、花をラミスに渡し。その花をかんざし代わりに髪に刺し、にっこりと微笑むラミスに憔悴し信者になったと言うのが正しい。


……え?誰、その天使。

「え、えーと。ユミナさん?貴女はどうやってこの牢の中へ?カギがかかって入れない筈ですわ。」

ラミスの質問に、ユミナはあせあせと慌てつつ答える。

「……それが私、全く覚えていないんです。ヘルニア兵と戦っていた事は覚えてます。でも、気が付いたらここに。」

…………。

「だから、私。最初、ここは天国だと思ったんです。……だって目の前に、憧れの姫様がいらっしゃるんですから。」

……天国。

私は先程、何と言っただろうか?確か私が言った言葉は……。


『あー、バラン将軍と迄は言いませんから、どなたでもよろしいので生き返って欲しいですわね。』


……まさか。

……いや、まさか。

それでユミナが、生き返ったとでもいうのだろうか?しかし、今迄の事から考えると、そうとしか考えられない。そう、これは。ラミスに宿った、新たな神々の力の可能性が高いのだ。

「いやー、私。ヘルニア兵にびっくりして、その時に(つまず)いて転んじゃって……。多分、誰かがここ迄運んでくれたのかな?」

…………。

……まだ、(つまず)いて転ぶ癖が、治っていないユミナさんの様ですわね。

「…………。」

「あのぉ。その、でも。……どうして、姫様が牢屋の中なんかに?」

「あっ、それはですわね……。ラミスは色々、かくかくしかじか、しかのこのこのこ話した。」

「ええっ!?そんなっ。公国がもう負けて、城が制圧されてるなんてっ……。」

公国のこの現状に、驚きが隠せないユミナさん。

「そんなー。じゃ、じゃあ。姫様も私も、もうこの牢の中から出る事は出来ないんですかー。」

頭を抱え、涙を流すユミナ嬢。

「あ、それなら大丈夫ですわよ?自由に出れますわ。」

ラミスはにっこりと笑う。

「えっ?牢の中なのに!?自由に出る事が出来るんですかっ?」

ラミスは足下のカギを拾い、にっこりと笑いカギをユミナに見せる。

「カギがありますわ。・~・」きらーん♪

「わぁ。」

ユミナはカギを見て、ぱあっと明るくなる。

「それでは、参りますわよ。ユミナさん。」

「はいっ、姫様。」

ユミナは嬉しそうに、とてとてとラミスの後に付いて行った。

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