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第8話 せんせい。

見学会も無事に終わった。

あの家庭教師の女はおびえながら自宅に帰ったらしい。家名も聞いたが、どうするかは当主が判断するだろうし。私はいろいろ言ったが別に何をする気もない。


お坊ちゃまたちに、中庭は中々好評だった、と思う。

みんなとお茶を飲んでクッキーを食べた。

ツリーハウスにもおそるおそる登っていた。みんなが下から応援する。中々微笑ましい光景だった。



私と一緒に庭に出てきたお坊ちゃまたちをみて、みんな本当に喜んでくれた。いい人たちだなあ。私の父が爵位を持っていてよかった、と思ったのは初めてかもしれない。こんな風にも使えるんだなあ。と、いうか、あの女!


どうも、当主の後妻の座を狙っていたようで、結婚さえしたら、息子たちは寮に入れるからいいのよ。と、堂々と言い放っていたらしい。もちろん当主を前にしたら、可愛らしいお嬢様を演じていたらしい。怖いわ。


というか、侯爵殿、離婚していらしたのね?死別?

社交界に疎いので、知らなかった。


「ええと、先の奥様はその…」


執事さんが言いにくそうに教えてくれた。どうも、仕事ばっかりの夫に愛想をつかし、男と逃避行。なんだかなあ。しかも相手は金ぴか大好きの、《《あの》》庭師らしい。

それにしたって、子供には何の関係もないのにね?

しかも、こんなにかわいい盛りの子供を置いてく??



「おいお前。」

「?」

「お前だお前。」

「私?残念!お前って言う名前じゃないんだ。エメリーヌって言います。よろしくね。」

「ふん。どうせお前も、お父様の後妻の座を狙ってるんだろう?」


おい、7歳児。自分の言っていること、ちゃんと理解してる?

大人には緊張して構えてしまうが、子供にはないなあ。弟も生意気だったし。


「ねえねえ、おねえちゃんがせんせいになってよ。ね?」

可愛いわねえ。3歳ぐらいって天使だわ。


でも私は《《庭師》》で《《教師》》ではないのよ。残念ね。



「困りましたねえ、当主が領地からお戻りになるまであと1月ほどありまして、お坊ちゃまたちのお勉強が遅れてしまいますねえ。家庭教師協会に頼んで、またあんな方が来られてもねえ…。困りましたねえ。」

「・・・・・」

「そうですよ、執事長。また身分をひけらかしてお坊ちゃまたちに暴力を振るうような方が来たら…。」

「・・・・・」

「あの女は使用人にもひどかったですからねえ、困りましたねえ…。」


うーーーーーん。


「ひと月だけですよ?」


こうして私は庭師と教師の二足の草鞋を履くことになった。










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