第5話 足し算。
師匠が職人や作業員を連れて、庭石を運び出した。
オブジェや庭石の売り上げで、十分な予算が出来た。
執事さんに相談しながら、庭園を設計していく。
今まであったバラ園は手を入れて、お散歩できる小道を整備する。大き目のレンガを芝生と交互に敷く。
蔓バラアーチもゆくゆく手を入れて、門のようにしたい。
その延長に、落ち着いた石造りのガゼボ。これはもちろん職人さんを手配。
池は噴水と裸婦像を取り除いてそのまま使う。池のふちには座れるぐらいに大理石を貼る。これも職人さんに頼んだ。睡蓮は大きな植木鉢を沈める形で。虫よけに、金魚を何匹か入れた。小さくて可愛らしい。うん。
運び出しの作業で芝生が傷んでしまったので、師匠に頼んで芝の専門の職人さんに芝生を貼ってもらう。庭の改装中とはいえ、侯爵家のお庭がボロボロなのは避けたい。
さすが師匠、2種類の芝生で市松模様を作ってくれた。こういうところがねえ…かなわないわよね?
思っていた、その二つくらい上を行っている。
後は、元々植えられている樹木が育っているので、手入れをするかな。
大まかなところが出来上がったので、次は中庭。
「中庭は…そうですね、当主様がお好きな樹木をシンボルツリーにするとかですかね?何かお好きな木はございますか?」
「・・・あの方は、お忙しい方なので、あまりそう言ったことには興味がないかと…。エメリーヌさんにお任せいたしますよ?」
「うーーーーーん、そうですか?おばあさまが大事にされていたとか、奥様が好きだったとか?何か思い出がある木がいいんですけどね。そうすると、庭を見た時、ほっとするでしょう?」
「・・・・・」
そう言えば、まだご家族のどなたにもご挨拶ができていないな。まあ、使用人の立場だとそんなものかな?
それにしても…小さいお子様がいると聞いていたけど、この屋敷はいつも静かだ。
「参考までに、お子様は、何歳でいらっしゃいますか?」
「7歳と3歳でございます。」
「前の、あの滑り台とかで、遊ばれていたんでしょうか?」
「いえ。あの、教育の時間が長く…。」
3歳と7歳で?遊ぶ暇もなくお勉強しているの??
・・・侯爵家ともなるとそんなものなのかしら?
思ったより小さいお子様方らしいので、中庭の端っこには実のなる木を何本か植える。
季節ごとに花をつける樹木も植える。
ど真ん中にはどんぐりの木。
すぐ大きくなるし、どんぐりを拾って遊べるし、動物も遊びに来る。夏は程よい日陰を作ってくれて、冬には葉を落として明かりが取れる。子供たちが大きくなるころには結構大きな木になる。木の下は芝生にして、お昼寝が出来るようにする。ピクニックも出来るわね。
大きな木の枝ぶりのいい枝にロープを張って、ブランコを作る。
その際に、よじ登った木は…これ、ツリーハウス作れないかしら?
落っこちて怪我をするのは困るけど、程よい高さだ。はしごもつけて…。
いいんじゃないかしら?
これは専門家案件ね。後で師匠にお願いしよう。
いいわ。いいわ。
なんなら泊ってもいい。うふふっ。
大工さんを手配してもらった時に、ついでにガゼボも作ってもらおう。
そうねえ、お茶を飲むとしたらどこがいいかしら?
そうそう、ベンチもいるわね。
花壇にはハーブの種を蒔く。零れるのもまた一興。




