第3話 アシル侯爵家の庭園。
家の馬車で送ってもらって、アシル侯爵家の屋敷に着く。
門から玄関までは良く整えられている。まあ、普通。植え込みも綺麗に刈り込まれている。
「庭師協会から紹介されて参りました。エメリーヌと申します。」
応対に出て下さった執事の方に、紹介状を差し出す。おばさまからのお手紙も一緒に出した。これは執事さん宛てだ。
「承っております。こちらにどうぞ。」
にっこり笑って、白髪の執事さんにティールームに通される。
窓が広く取ってあって、庭園が見渡せる。
これかあ…。
「お荷物は客間に運ばせておきます。」
「いえ、庭師小屋があれば、そちらで。」
「え?」
いやはや。これか、師匠の言ってたことは。
ぐちゃぐちゃになっている、というから、荒れ果てて草木がぼうぼうになっている庭園を思い浮かべていたが…。
・・・これは、ひどいな。
芝は刈り込んである。これはまあいいとして…金ぴかのよくわからないガゼボ。所狭しと置かれた裸体の彫像。やはり金ぴかの灯ろう??金ぴかのベンチ。噴水の池にも裸の彫像。どでかい庭石…。ある意味、凄いな。
「あの…。この庭は、当主のご趣味で?」
「ああ…。いえ。前の庭師に全てお任せしておりまして。こんなふうに。決して当主の趣味ではございません。予算も法外に使い込みまして、首にいたしました。」
そうだよね。執事さん…。
なんだか、落ち着かない庭だよね。言いたくはないが、品位を疑うよな。
「後ほど中庭もご案内いたします。まずは、お茶をどうぞ、エメリーヌ様。」
「まあ!使用人になるのですから、様はお止めください。」
「・・・そうですか?では、エメリーヌさん、今回の庭への予算は…あまり取れないのですが。前回、詐欺まがいの目に遭いましたので、その…。」
「あら、大丈夫ですよ。ご提示していただいた額で。庭師協会の規定料金ですから。ただ…。」
「ただ?」
「いくらか庭をスッキリさせるのに、処分するのは差し支えございませんか?例えば、あの裸婦像を屋敷内に飾るとか?どうでしょう?」
「いえ。結構です。処分は差し支えございません。すべてエメリーヌさんの一存で構いません。」
レースの短い手袋をしたままで、失礼してお茶を頂く。
茶器は上品だわ。執事さんも品があるし。この庭は…イタイわね。
前の庭師ねえ…。予算が思ったよりあったから楽しくなってしまって沢山飾ったのかしら?本人の趣味?
お茶の後に、中庭を見せて頂く。
前の庭師…以下同文。
金ぴかの滑り台にブランコ。何だかよくわからない動物のオブジェ?怖いわ。
「あの…。」
「はい。処分していただいて差し支えございません。」




