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第22話 庭師?

馬車寄せに馬車が着いたようなので、堤防の図面を抱えて二階から降りていく。

乗り込むと…え?


よそ行き着を着た息子二人と、家庭教師が乗っていた。

「今日はよろしくお願いいたします。」

家庭教師が…いや、同行する予定の庭師はどうした???


「庭師のエメリーヌです。今日はお坊ちゃまたちもお連れするようにと公爵殿に申し付かりまして。」


息子たちは見送ってくれるジャンや使用人に手を振っている。


「え?君は家庭教師でしょう?庭師って?」

「はい。本職は庭師です。きちんと紹介状も頂いておりますし…。庭師協会の正会員です。」


エメリーヌは、不思議そうな顔をして首をかしげる。

ジャンが読んでおくように言っていた書類か。読んでなかった。

待って、待って…うちの庭師?どう見たって線の細い少年なのかと思っていた。いつもシャツにスラックスに分厚いエプロン…。


「だって、君、どう見てもどこかのご令嬢に見えるんだけど?」

「はい。家はラウリー伯爵家ですが?」

「え?そこのお嬢さんが、どうして庭師?しかも、正会員って?」

「公爵家にお世話になって、そこの庭師に弟子入りしておりまして。」

「・・・・・」

「今日、堤防の植林についてのお話は、うちの師匠からです。庭師協会の顧問をしております。」

「・・・・・」

「私も同席を許可されまして。興味深いですよね。私はまだひよっこですが、師匠は庭はもちろんですが、公園や街路樹の設計や管理もしております。憧れですよね。アシル侯爵邸とは仮契約ですが、専属になれるように頑張りますね。」

「・・・・・」


「せんせいは おさかなも つくってくれたの。」

エメリーヌの右側に座ったジルが、嬉しそうに言う。そっと撫でるレースの手袋をした手。

「ぼく おさかなすき。」


さかな?ああ、あの植え込みか。


「ああ、いい庭になったと思う。」


そう言うと、エメリーヌが私を見て笑った。




公爵邸の庭は、広々して美しかった。またうちの庭とは違った美しさ。


打ち合わせが終わって、庭師小屋というには大きいマルクさんの事務所から出てくると、ちょうど公爵夫人とお散歩から帰ってきた息子たちが手を振っていた。

エメリーヌが軽くお辞儀をして、駆けだしていく。



「庭はね、住む人によって変わっていくんですよ。」


マルクさんがそれを眩しそうに眺めながら言う。


「・・・・・」

「この庭もね、奥方様が頻繁にガーデンパーティーをしているころは、もう少し華やかでした。いまは、お二人で散策されるのにちょうどいい具合に作っております。これから嫡男殿に子どもが生まれれば、また少し変わっていきます。」

「・・・・・」

「私の弟子、エメリーヌが作った庭はいかがでしたか?」

「・・・ああ、息子たちが、あんなに笑うんだ、と気づかせてくれる庭になりました。いい庭です。」

「ふふふっ。そうですか。庭も人も、ゆっくりと変わっていきますからね。」

「・・・・・」










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