第2話 初めてのお仕事。
「おめえ、初仕事が決まったぞ。協会の推薦状も取った。行ってこい。」
マルクさんが仕事終わりにニコニコしてそう言った。
「あの屋敷はな、先代の奥様がいらっしゃるときは綺麗にしてたもんだがなあ…その後は庭師がな…。金だけかけて、ぐちゃぐちゃになっているらしい。」
「え?」
「当主がなあ、なんだかあんまり興味が無いみたいで。逆に、腕の見せ所だぞ?」
「まあ。そうなんですね?」
「ああ。ぐちゃぐちゃだから、時間はかかるかも知れないがなあ…。まあ、頑張ってこい。樹木の植え替えとか、力仕事の時は手伝いに行くから連絡して来いよ。」
「はい。頑張ってきます!師匠!!」
師匠の所に8つの時に弟子入りして早13年!初仕事ですわ!!
推薦状、使い慣れた作業道具と着替え一式。あとは何かいるかしら?カバンにどんどん詰め込んでいく。
大きなお屋敷になると庭園の隅っこに管理小屋がある。寝起きできるものもあれば、道具置き場と休憩所の時もある。できれば住めるぐらいがいいなあ。誰にも会わないし。
今回の紹介先はアシル侯爵家。
庭園と中庭。中庭は小さい子供がいるので、子供用に整備。ふむふむ。
師匠が、ぐちゃぐちゃだから、と言っていたが、まあ大方大げさに脅しているんだろうな。今時、侯爵家の庭園がぐちゃぐちゃになっているなんてなあ?ないな。
お父様とお兄様にご挨拶すると、ことのほかあっさりと承諾された。おばさまが手回ししてくださったんだろう。弟は学院の寮に入っているので、まあ、いいか。
「それでは行ってまいります!」
皮の大きめなカバンが一つ。
持ち手だけがこげ茶に変色してしまっている。
手袋をして、ハンカチで持ち手を包んで持つようにしているが、それでもやはり濡れてしまう。いっそ、カバン全体を触りまくって、こげ茶にしようかとも思ったが…。
まあ、出発!!




