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第17話 当主様。

「今回はどのくらいこちらに滞在されますか?」


紅茶を出しながら、執事長のジャンが聞いてくる。

執務室の机の上には留守にしていた間の帳簿や報告書が山のように積まれている。


カップをそっと置いて、ジャンがカーテンを開ける。妙に庭がさっぱりしていた。


「いい庭になりましたでしょう?」


「ああ、そうだな。こっちには1か月ぐらいか。貯水池の崩壊で流された畑の復興と冬に向けてそこの領民の生活をな…。」


ん?あいつら何をしてるんだ?


「こちらの事情は報告いたしました通りでございます。お坊ちゃまたちの家庭教師は首にいたしました。お坊ちゃまたちに鞭を使っておりましたので。」

「ああ。ひどいな。家庭教師協会の紹介だっただろう?抗議しておいた。」

「そうでございますか。」


ああ、騎士たちと剣術の練習か。ふーん。なかなか板についているじゃないか。そうだな、剣術の練習を始める年頃になってきたんだな。


あの子は?…一輪車なんか押してなにやってるんだ?あれが新しい庭師?細い子だな。


「今のところ、臨時的に家庭教師を頼んでおります。いい方です。」

「そうか。」


あれはなんだ?クマか?その隣は…さかな??


「夏休みには新しい家庭教師と公爵家の別荘に避暑に行っておりました。お礼は旦那様のお名前で贈ってあります。社交で会われましたら、お礼を忘れずにお願いいたします。」

「ああ。」


公爵家?別荘?なんで?


「そうそう、こちらを。新しい庭師が前の庭師が置いていった物を処分しまして、いろいろと新しく致しました。その収支報告書でございます。ずいぶんと余りました。」

「・・・・・」


そうか。今回は予算をほとんど割り振らなかった。処分、て、あんなものを欲しがる奴がいるんだな?


「こちらは、新しい庭師からの領地の堤防補修に関する提案書です。お預かりしておりました。参考文献付きです。私も目を通しましたが、なかなか面白い着眼点です。」

「・・・・・」


パラパラっと見てみる。収支報告書もだが…これも、雨にでもあたったのか、ところどころ紙が歪んでいる。


東洋のとある堤防には桜をたくさん植えて、領民や観光客が花見を楽しんでいるらしい。主要な道を堤防の上に整備して、常に踏み固めるようにしている。なるほど?



「それで、私といたしましては、今頼んでいる家庭教師の方にずっとお願いしたいと思っているのですが…。」

「まあ、いいんじゃない?」

「ありがとうございます。お坊ちゃまたちも喜びます。」

「・・・・・こほんっ。あのな?昨日の夜、フェリの部屋に行ったら…女が寝ていた。あれは?」

「ああ。その家庭教師です。昨日、お誕生会をしておりまして、部屋に送って行かれまして、そのままおやすみになってしまわれたんでしょう。フェリックス様と婚約なさったそうですので。ふふふっ。」

「え?大人だ、ぞ?」

「ええ。間違いございません。」

「・・・・・」


まあ、確かに、留守中のことは執事長に一任していた。それにしても…婚約??


「え?とんでもない悪女?7歳の子をたぶらかしているの?」

「8歳でございます。フェリックス様のご希望でございます。フェリックス様が大きくなられても、あの方の貰い手が決まらなかったら、ご結婚されるそうですよ。ふふふっ。」


え?


ああ…子供にはよくある、僕、お姉ちゃんと結婚する、とかいう、あれかな?










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